来週の金融市場見通し(2019年12月16日~2019年12月20日)

■来週の見通し

トランプ米大統領が中国との第1段階の貿易合意を承認し、15日に発動予定だった制裁関税は見送られると伝わったこと、また英総選挙は与党保守党の勝利が確実になり、英国は来年1月中の欧州連合(EU)離脱の方向に向かう見通しとなったことを受け、週末は投資家のリスク選好が強まりました。米中の貿易合意については、13日に発表が行われる模様です。もっとも、第2段階以降については不透明な状況です。2大リスクが後退する中、内外の経済指標などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値を試す

日経平均株価は、15日の米国による対中制裁関税発動を控えてもみ合いが続いていましたが、米中が第1段階の貿易合意に至り、トランプ大統領が承認したと伝えられたこと、また英国の合意なきEU離脱への警戒が後退したことから、投資家のリスク選好が強まり、2万4,000円台を回復しました。ドル円が109円台まで上昇し、投資家心理が回復する中、上値を試す展開が期待されますが、高値圏での利益確定売りには注意が必要です。

◆長期金利 : ゼロ%付近でのもみ合い

堅調な米雇用統計や、米中貿易協議の進展期待などから、安全資産とされる国債を売る動きが優勢になり、長期金利は9か月ぶりにゼロ%に浮上。もっとも、投資家のリスク選好が強まった週末にも、ゼロ%を付けたものの、その後は押し目買いから低下する動きに。米連邦公開市場委員会(FOMC)は利下げ休止で、政策金利は当面現行の水準が維持される見込み。材料にやや欠ける中、ゼロ%付近で方向感を探ることになりそうです。

◆為替 : 方向感は出にくそう

ドル円は、米国の対中関税発動や英国の総選挙を控え108円台でのもみ合いが続いていましたが、米中が第1段階の貿易合意に至ったと伝えられたことから、一気に109円台半ばまで上昇しました。もっとも、その後は一進一退の動きが続きました。FOMC参加者の政策金利見通しでは来年は政策金利据え置きが大半。逃避通貨とされる円買いは後退しているものの、米政策金利は横ばいの見通しで、方向感の出にくい状況が続きそうです。

◆Jリート :押し目を探る

東証REIT指数は5日続落。長期金利上昇を受けて、分配金利回りの魅力が減退したことや、投資家のリスク選好から、株式市場からの資金流入が弱まったことなどから、軟調な動きが継続。もっとも、11月の東京都心のオフィス空室率は1.56%まで低下するなど、良好なオフィス市況が続いています。また、予想分配金利回りは3.6%程度まで上昇しています。11月に底打ちした2,100ポイントに近づくと、押し目買いも期待できそうです。

来週の注目点

訪日外国人客数(11月) 12月18日(水)午後4時発表 

訪日外国人客数は10月に前年比5.5%減の249万人となりました。依然として韓国からの訪日客の大幅減(同65.5%減)に足を引っ張られています。一方、ラグビーワールドカップ日本大会の開催により、英国(同85.6%増)など大会出場国からの訪日客が顕著に増加しました。

11月も韓国からの訪日客減が見込まれる上、ワールドカップは11月2日に終了したことから、11月の訪日客も全体として前年比減が見込まれます。ただ、中長期的には、韓国との関係改善や中国・東南アジアからの訪日客増が見込まれるため、全体の訪日客は増加傾向が続く見通しです。

米個人消費支出(11月) 12月21日(土)午前0時発表

10月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.3%増と市場予想に一致、また、PCE価格指数は総合で前年比1.3%上昇となり、市場予想を下回るとともに米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)に及びませんでした。また、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前年比で1.6%上昇しましたが、前月より若干伸びが減速しました。個人消費はここまで米景気をけん引しており、今後の推移に注目です。11月のPCEは前月比0.4%増程度、PCE価格指数は総合で前年比1.3%、コアで1.5%程度の上昇を想定しています。

 

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