来週の金融市場見通し(2019年12月9日~2019年12月13日)
■来週の見通し
米国では「香港人権・民主主義法」成立に続き、米議会下院が中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区での弾圧対策に関する法案を可決しました。米中の対立が警戒されましたが、貿易交渉は別との見方から、市場は比較的落ち着いた動きが続きました。来週は、12日に英総選挙、15日に対中の制裁関税第4弾発動を控え、やや神経質な動きになりそうです。米連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)理事会ともに現状維持の見込みですが、初会合となるラガルドECB新総裁の記者会見も注目されます。
◆株価 :やや神経質な展開
対中の制裁関税第4弾発動を控える中、米中の動向に振らされながらも、大型の経済対策への期待などが支えとなり、国内株は底堅い動きが継続しました。ただ、対中の制裁関税発動は回避されるとの観測が強いものの、予断を許さない状況です。米中が貿易協議で部分合意できれば安心感が広がりますが、協議が難航し、制裁関税が発動された、もしくは発動が延期された場合には、投資家心理が悪化しそうです。神経質な展開が見込まれます。
◆長期金利 : 米中次第ではプラスに浮上も
中国の景況感指数改善を受け、世界景気の減速懸念が和らいだことから、長期金利は3日には一時マイナス0.02%、6日には需給懸念からマイナス0.015%と、4月以来の水準まで上昇。10年国債入札が低調な結果となるなど、積極的な買いが後退している模様です。米中が部分合意に至った場合には、投資家のリスク選好から、長期金利に上昇圧力が掛かることも想定されます。米中の協議を確認するまではもみ合いが続きそうです。
◆為替 : 米中、英国にらみ
トランプ米大統領が中国との貿易合意を先送りする可能性を示唆したことを受け、ドル円は109円台後半から108円台後半に下落しました。もっとも、この発言は思い付きとの見方に加え、協議は順調と伝わったことから、下げ止まる展開になりました。来週も、米中の動向を確認しながら方向感を探ることになりそうです。他方、英総選挙では保守党勝利が見込まれているものの、結果次第では荒れた展開になる可能性もあり注意が必要です。
◆Jリート :押し目を探る
東証REIT指数は、11月に急落した記憶が残る中、長期金利が上昇したことで、Jリートの分配金利回りの魅力が薄れるとの見方が広がり、利益確定売りに押される展開になりました。もっとも、長期金利が上昇したとはいえ、まだマイナス圏での動き。仮に、米中対立への警戒が後退した場合でも、日銀の強力な金融緩和の下、長期金利の上昇は限定的とみられます。金利動向をにらみながら押し目を探ることになりそうです。
■来週の注目点
日銀短観(12月調査) 12月13日(金)午前8時50分発表
9月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス5と、輸出の不振を主因に3期連続で悪化しました。一方、大企業非製造業のDIはプラス21と高水準ながらも、前回6月調査比で悪化しました。
今回発表される12月調査についても、製造業・非製造業ともに景況感の悪化が見込まれます。米中貿易摩擦が依然として製造業を圧迫しているほか、非製造業では、消費税増税の影響が重しとなりそうです。
米消費者物価指数(11月) 12月11日(水)午後10時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は、10月に総合で前年比1.8%上昇し、市場予想を若干上回りました。一方、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.3%の上昇と市場予想を下回り、前月より若干伸びが鈍化しました。
米国景気をけん引している個人消費は引き続き堅調に推移しているものの、総合ではCPI全体の約3分の1を占める住居費の伸びが大きく減速し、また、新車価格は足元、4か月連続で低下するなど、顕著な物価上昇にはつながっていません。11月は総合でやや強めの前年比2.0%、コアCPIで10月と同様、同2.3%程度の上昇を想定しています。
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