来週の金融市場見通し(2019年11月25日~2019年11月29日)
■来週の見通し
米議会は、香港での人権尊重や民主主義を支援する「香港人権・民主主義法案」を可決しました。中国は内政干渉と反発しており、米中の対立が懸念されます。もっとも、中国の劉鶴副首相が、第1段階の合意に達することに「慎重ながらも楽観的」であるとの見解を示すとともに、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に対し、協議のため月内に訪中するよう招請したと伝えられています。トランプ米大統領が香港人権法案に署名するか、また米中貿易協議が進展するかを確認していく必要があります。
◆株価 :方向感を欠く展開に
日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。米中貿易協議の行方が明確になるまでは、積極的にリスクを取りにくい状況が続きそうです。とはいえ、米中の部分合意に対する期待が依然残っているほか、世界経済に対する悲観は、やや和らいでいます。これらを背景に、日経平均株価は2万3千円付近では底堅さを示すとみられます。ただ、貿易協議に関するネガティブな報道に過剰反応して変動性が高まる場面もあり得るため、要注意です。
◆長期金利 : 米中にらみ
米中貿易協議をめぐる不透明感や、香港情勢をめぐり米中の対立が激化するとの警戒から、安全資産とされる国債は買いが優勢(価格上昇、利回り低下)になりました。来週も、米中の動向にらみとなりそうです。トランプ氏が法案に署名すると、長期金利に低下圧力が強まり、米中貿易協議が進展すると、低下圧力は弱まることが想定されます。他方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議⻑、黒田日銀総裁の講演も確認したいところです。
◆為替 : レンジ継続
米中貿易協議において、中国の劉鶴副首相が第1段階の合意に達することに「慎重ながらも楽観的」であるとの見解を示しており、部分合意に至るという観測は依然残るものの、楽観論がやや後退していることから、ドル円の上値は重い状況です。また、米長期金利は方向感を失っており、ドル円は米中貿易協議に絡んだヘッドラインに振らされながら、108円台半ばを中心に狭いレンジ内で方向を探る展開が継続しそうです。
◆Jリート :高値圏で底堅く
米中対立への警戒などから長期金利がじりじりと低下する中、Jリート市場は買戻しが優勢になりました。前週に大きく売り込まれましたが、東証REIT指数は2,100ポイントで底を打った格好です。今後、大きく下落する局面では、この水準が意識されそうです。しばらくは米中の動向に振らされる展開が続きそうですが、長期金利が低位で推移する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、底堅く推移しそうです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(10月、速報値) 11月29日(金)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は9月に前月比1.7%上昇し、103.2(2015年=100)となりました。ただ、四半期ベースでは、7-9月期は前期比0.5%低下となりました。
10月は、前月比2%前後の低下が見込まれます。輸出の低迷に圧迫されるとみられるほか、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減も見込まれます。さらに大型台風による工場の操業休止も、生産の減少要因となりそうです。ただ、在庫水準は低下しているため、在庫の圧縮に伴う大幅な生産減は回避される見通しです。
米個人消費支出(10月) 11月28日(木)午前0時発表
9月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%増と市場予想を下回りました。またPCE価格指数は総合で前年比1.3%上昇となり、市場予想を下回るとともに米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)に遠く及びませんでした。一方で食品とエネルギーを除く PCEコア価格指数は前年比で1.7%上昇するなど、比較的堅調でしたが、貯蓄率が3月以来の高水準となっており、総合的にはやや個人消費の勢いに陰りが見えています。10月のPCE価格指数は総合で前年比1.4%、コアで1.6%程度の上昇を想定しています。
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