来週の金融市場見通し(2019年11月11日~2019年11月15日)
■来週の見通し
米経済指標の改善に加え、米中貿易協議では米中双方が発動した追加関税を段階的に撤回することで合意したと伝わったことなどから、協議進展への期待も広がり、投資家のリスク選好の動きが強まりました。他方、米政権は14日までに国家安全保障の理由から、欧州からの自動車と自動車部品に追加関税をかけるか判断するとしています。来週は、米中貿易協議の第1段階の合意内容や米中首脳会談の日程・場所に加え、自動車関税をめぐる欧米の動向などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :やや軟調な展開を予想
日本株は、やや軟調な展開が予想されます。米中貿易協議については、関税撤回のスケジュールなど、詳細な内容は未定です。そのため当面、これをめぐる錯綜した情報に振り回されそうです。そうした中、すでに日本株は米中貿易協議への期待などから大幅に上昇しているため、利益確定売りに押されやすい展開が見込まれます。ただ、世界経済への過度な懸念は和らいでおり、日経平均株価は2万3千円台での推移が続くと予想されます。
◆長期金利 : 引き続き居所を探る
日銀が国債買い入れオペで残存期間「10年超25年以下」の購入額を減らしたことや、10年国債入札が弱く需給懸念が広がったことに加え、米中貿易協議の進展期待から安全資産とされる国債を売る動きも強まり、長期金利は一時マイナス0.045%と5月以来の水準まで大きく上昇しました。投資家のリスク回避姿勢が弱まる中、積極的に債券を買う動きが後退しています。米金利や日銀の動向を確認しながら、居所を探る展開が続きそうです。
◆為替 : ドル高地合いも上値は攻めきれず
米中貿易協議において、両国が段階的な関税撤回で合意したことが明らかになり、リスク選好の動きからドル円は底堅い動きを示しています。一方で関税の段階的撤回にはホワイトハウスからの抵抗があるとも伝えられており、実際の調印まではどこまで両国が踏み込めるのか予断を許しません。ドル円は米中関連のヘッドラインに振らされる展開が続きそうです。基本的には上値トライ、しかし値幅は限定的、といった展開を想定しています。
◆Jリート :底打ちを探る
東証REIT指数は、連日で年初来高値を更新し、2007年7月以来、約12年4か月ぶりの高値まで上昇しましたが、利益確定売りが広がったことに加え、長期金利が大きく上昇し、相対的に高い分配金利回りに対する妙味が薄れたこと、堅調な株式市場からの資金シフトが弱まったことなどから、週末には1か月ぶりに2,200ポイントを下回りました。もっとも、押し目買い意欲は根強いとみられ、来週は底打ちを探る展開になりそうです。
■来週の注目点
GDP統計(19/7-9月期、1次速報) 11月14日(木)午前8時50分発表
日本の実質国内総生産(GDP)成長率は4-6月期に前期比0.3%増(年率1.3%増)と、個人消費の伸びを主因に緩やかな拡大を示しました。一方、設備投資が伸び悩んだほか、海外経済の減速を受け輸出は低調でした。
7-9月期についても、消費税増税前の駆け込み需要を背景に、プラス成長が見込まれます。ただ、駆け込み需要は過去の増税時よりは弱めだった模様であるほか、輸出の低迷が続いているため、前期比年率1%台のプラス成長にとどまりそうです。なお、駆け込み需要の反動が出る10-12月期は、一旦マイナス成長となる見通しです。
米消費者物価指数(10月) 11月13日(水)午後10時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は、9月に総合で前年比1.7%上昇し、市場予想を若干下回りました。一方、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.4%の上昇と市場予想通りとなりました。
総合では中古車価格が前月比1.6%低下したことの影響が大きく、合わせて新車価格も3か月連続で低下しています。また、ガソリンなどエネルギー価格も下げており、インフレは極めて落ち着いた状況が続いています。10月は総合で前年比1.7%、コアCPIで同2.4%程度の上昇を想定しています。
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