来週の金融市場見通し(2019年11月4日~2019年11月8日)

■来週の見通し

11月中旬のチリでの米中首脳会談は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議中止で困難になりましたが、米国は当初の予定通り正式署名をめざすとしています。ただ、中国当局者が包括的な合意の実現性に疑問を抱いていると報じられ、協議をめぐる先行き不透明感がやや高まっています。来週は、米中の動向に加え、佳境を迎える国内企業の決算発表を確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :神経質な展開に

日本株は、神経質な展開になりそうです。米中貿易摩擦の先行きに関し依然として不透明感が強い中、株価の上値を追いにくい状況です。また、米国や中国の景気減速観測も、投資家心理を圧迫しそうです。日本株については、消費税増税による景気や企業業績への影響も懸念されます。とはいえ、米中貿易協議で暫定的な合意に至るとの期待や、米国などの金融緩和に支えられ、一方的な株価下落は回避されるとみられます。

◆長期金利 : 居所を探る

長期金利は、米中対立や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる懸念が後退し、一時マイナス0.115%と6月13日以来の水準まで上昇しました。ただ、日銀が金融政策決定会合で将来的な利下げの可能性を示唆したことに加え、米中貿易協議の先行き不透明感から、週末には一時マイナス0.19%まで低下しました。日米の金融緩和政策がしばらく続くことが見込まれる中、日銀がどこまで金利低下を許容するか試す可能性もありそうです。

◆為替 : 上値重くレンジ内で方向を模索

米中貿易協議について中国側が、第一段階の貿易協定調印には近づいているものの、最重要問題については譲歩する意向はなく、長期的な合意に達することに疑念を抱いているとの情報が伝わり、ドル円はやや下向きになっています。また足元、米個人消費にも懸念が生じていることから米長期金利の1.8%を超えての上昇は考えにくい状況です。ドル円は上値の乏しい中、しばらくレンジ内で方向を模索する展開が続くでしょう。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は利益確定売りに押されながらも、押し目買いも入り、高値圏での一進一退の動きが続きましたが、週末には長期金利の低下を受け、年初来高値を更新しました。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、緩和的な金融政策を続ける姿勢を示したことや、日銀が金融緩和姿勢を強めたことから、長期金利は低位での推移が見込まれます。相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、引き続き底堅く推移しそうです。

来週の注目点

家計調査(9月) 11月8日(金)午前8時30分発表 

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は8月に前年比1.0%増と、9か月連続で増加しました。特に、猛暑を受けエアコンなどの購入が増加しました。

9月の実質消費支出についても、消費税増税前の駆け込み購入を主因に、前年比増が見込まれます。駆け込み購入は2014年の増税時に比べると少なかった模様ですが、9月終盤には耐久消費財などの購入が顕著に増えた可能性があります。その動向は10月以降における反動減の程度を左右するため、今回の家計調査が注目されます。

米ISM非製造業景況指数(10月) 11月6日(水)午前0時00分発表

米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業景況指数は52.6となり、市場予想を大きく下回るとともに、2016年8月以来の低水準となりました。

足元、新規受注と景況指数の伸びが急減速しています。また、雇用指数も2014年2月以来の低水準です。10月は53.4程度が想定されていますが、米中貿易戦争と世界的な景気減速が米景気を一段と圧迫しているとの見方が強まる中、製造業だけでなくサービス業への広範な影響が懸念されます。

 

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