来週の金融市場見通し(2019年10月28日~2019年11月1日)

■来週の見通し

米中の対立激化や英国の合意なき欧州連合(EU)離脱への警戒感が後退し、内外の金融市場はややリスク選好に傾いています。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀金融政策決定会合が開かれます。米追加利下げは確実視されており、利下げ継続の姿勢が示されるかが注目されます。他方、日銀についても、今回の会合で経済・物価動向を改めて点検するとしており、点検を踏まえて追加緩和に踏み切るとの見方がくすぶります。どちらも決定後に市場が動く可能性があり注意が必要です。

◆株価 :上値をうかがう展開か

日本株は、上値をうかがう展開が予想されます。米中貿易協議に対しやや楽観的な見方が広がっていることに加え、米国などでの金融緩和期待などが株価を支える見通しです。ただ、国内外の企業決算では強弱の内容が混在する見通しであるほか、世界経済の減速懸念が残る中、日米の経済指標および金融政策を慎重に確認する必要があります。そのため日経平均株価は、2万3千円台に乗せる場面では伸び悩むものと見込まれます。

◆長期金利 : 日米の金融政策にらみ

米中対立や英国のEU離脱への警戒感が後退し、国債への逃避需要が弱まっていることや、日銀が超長期金利の上昇を促す姿勢を示していることを背景に、長期金利は一時マイナス0.135%まで上昇しました。来週は日米の金融政策にらみ。米利下げは織り込み済みで、緩和継続の姿勢が示されないと、日米の長期金利は上昇する可能性も。日銀は追加緩和に踏み切る可能性はあるものの、長期、超長期金利の低下は抑制するとみられます。

◆為替 : 円安地合いも動きは鈍そう

米中貿易協議に絡んだリスクはいったん遠のいていることから、ドル円は若干底堅さを見せています。とはいえ、米中貿易戦争の悪影響が米個人消費にまで及びつつあり、今月末の米連邦準備制度理事会(FOMC)においてもう一段の利下げの可能性が高まっています。それを受け、米長期金利の上昇余地は極めて限定的であり、ドル円の上値も乏しいでしょう。しばらくは狭いレンジの中、方向を模索する展開が継続しそうです。

◆Jリート :高値もみ合い

東証REIT指数は、投資家のリスク選好が強まる中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、週央には終値で2,250ポイント台まで上昇。その後は利益確定売りにやや押される動きになりました。日銀は長期、超長期金利の低下を抑制する姿勢を示していますが、世界的に低金利が続く中、国内の長期金利の上昇も限定的とみられます。利益確定売りに押される場面もありそうですが、押し目買いから底堅く推移するとみられます。

来週の注目点

消費動向調査(10月) 10月31日(木)午後2時発表 

消費動向調査によると、9月の消費者態度指数は前月差1.5ポイント低下し35.6と、現在の評価方法が採用された2013年4月以降、最も低い水準になりました。「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の全てが前月比で低下しました。

消費税増税や実質所得の減少を背景に、10月は一段と低下する見込みです。消費者心理の悪化は実際の消費を抑制し、景気を悪化させると考えられるため、今回発表される指数の落ち込み幅が注目されます。

米雇用統計(10月) 11月1日(金)午後9時30分発表

9月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比13万6,000人増と市場予想を下回り、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比2.9%上昇と、ここ1年余りで最も低い伸びとなりました。一方、失業率は3.5%と1969年以来の低水準となりました。

全体的には強弱まちまちといえるものの、米中貿易戦争が雇用と経済の両方に下向きの圧力を加えている兆候は強まっています。10月の非農業部門就業者数は前月比9万5,000人程度の増加、平均時給は前年比3.0%程度の上昇を想定しています。

 

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