来週の金融市場見通し(2019年10月21日~2019年10月25日)

■来週の見通し

米中は通商問題で部分合意し、米国は10月15日に予定されていた中国製品への関税引上げを見送りました。トランプ米大統領は、11月中旬に開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)にあわせて、米中の首脳会談を開き、合意文書に署名したい意向です。今回の合意には12月の対中制裁関税第4弾の先送りは含まれていませんが、過度な警戒感は後退しています。来週は米国に続き、国内でも決算発表が本格化します。通期業績の下方修正が相次ぐとみられる中、来期の業績回復への期待が広がるかが注目されます。

◆株価 :上値の重い展開を予想

日本株は、上値の重い展開が予想されます。米中貿易協議での合意を受け、日本株は大幅に上昇したものの、部分的な暫定合意にすぎず、貿易摩擦懸念は依然として残っています。また、米国を含む世界経済の減速基調が示されていることも、市場心理を圧迫しそうです。こうした中で日経平均株価は、国内外の企業業績や米国の金融政策などを確認しつつ、2万2千円台半ばを中心とした推移が続く見通しです。

◆長期金利 : 居所を探る

米中貿易協議の部分合意を受け、投資家心理が改善し、安全資産とされる国債は売りが優勢になり、長期金利は上昇しました。為替が円安方向に動き、日銀の追加緩和観測が後退したこと、米中対立への警戒が和らいだことや良好な米企業決算を背景に米長期金利が上昇したことも、国内の長期金利を押し上げた模様です。日銀の国債買入れオペの減額への警戒も根強い状況。米金利や日銀のオペを確認しながら居所を探る展開になりそうです。

◆為替 : 円安地合いも上値は限定的

米中貿易協議が一定の進展を見せ、部分合意に至ったことから、15日に予定されていた中国への追加関税発動が回避されました。それを受けドル円は若干底堅さを見せています。とはいえ、米中貿易戦争の悪影響が米国個人消費にまで及びつつあることが懸念されており、次回米連邦準備制度理事会(FOMC)でのさらなる利下げ観測が高まっています。米長期金利の上昇余地は極めて限定的と思われ、ドル円の上値も限定的と思われます。

◆Jリート :高値もみ合い

東証REIT指数は2,250ポイント前後まで上昇すると売りに押される展開が続きました。ただ、長期金利上昇でも前週比では上昇と、堅調な地合いは継続しています。英FTSEラッセルが、来年9月から世界株の運用指数「FTSEグローバル株式指数シリーズ」へのJリート組入れを決定したことは、安心材料になりそうです。高値警戒感がくすぶるものの、引き続き分配金利回りは相対的に高く、押し目買いが下支えするとみられます。

来週の注目点

貿易統計(9月) 10月21日(月)午前8時50分発表 

貿易収支は8月に1,435億円の赤字と、2か月連続の赤字を示しました。輸出については、中国向けの半導体製造装置、米国向けの自動車などが減少しました。

9月の貿易収支についても、赤字が見込まれます。中国景気が不調である上、米国でも景気減速が顕著になりつつあることから、両国向けの輸出が伸び悩むとみられます。ただ、国内景気も低調であるため、輸入についても減少基調が見込まれます。そのため、貿易収支(輸出-輸入)の赤字は、小幅なものにとどまる見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(10月)  10月24日(木)午後5時発表

マークイットユーロ圏総合PMIは、9月は50.1となりました。予想を下回るとともに、拡大・縮小の分岐点である50に接近し、景気後退リスクの高まりが示唆されました。注目の製造業PMIは9月は45.7まで低下しました。

ユーロ圏ではサービス業は比較的堅調ですが、ドイツを中心に製造業は引き続き減速感が強い状況です。また、徐々にサービス業への影響度合いも高まっています。中国を中心に域外需要が大きく減少していることや、英国の欧州連合(EU)離脱の不透明感も払拭されず、10月も当該指標は低迷が継続しそうです。

 

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