来週の金融市場見通し(2019年10月14日~2019年10月18日)

■来週の見通し

トランプ米大統領と中国副首相との会談などで、米中貿易問題で何らかの部分合意に達し、15日に予定されている中国製品2,500億ドル分への制裁関税発動が延期されると、市場に安心感が広がる可能性があります。もっとも、12月にはスマートフォンやノートパソコン、玩具などの中国製品に対する制裁関税が控えており、米中の動向に振らされる展開は続きそうです。来週から米企業の2019年7~9月期決算発表が本格化します。若干の減益見通しですが、先行きに前向きな見方が示されるかが注目されます。

◆株価 :米中協議次第

日本株は、米中貿易協議の結果次第となる見通しです。同協議ではひとまず部分合意がなされ、当面の追加関税は回避されると予想されます。その場合、世界経済への不安が和らぎ、日本株も上昇すると予想されます。ただ、包括合意に至る可能性は低いため、貿易摩擦懸念は協議後も残存しそうです。また、協議決裂の可能性もわずかに残っています。いずれにせよ連休明けの日本株は変動幅の大きい展開が予想されるため、要注意です。

◆長期金利 : レンジの中、居所を探る

長期金利は米中の閣僚級貿易協議をにらみ、一進一退の動きが続いていたものの、トランプ氏が中国副首相と会談するとツイートしたことを受け、協議の進展期待が広がり、米長期金利とともに上昇する動きになりました。15日の対中制裁関税が回避されると、長期金利は一段と上昇する可能性があります。もっとも、米中対立への警戒感はくすぶります。米金利の動きを確認しながら、居所を探る展開になりそうです。

◆為替 : ドル円は上値を探るか

今後のドル円を占ううえで米中貿易協議の結果が最重要事項です。現状、為替協議が進展し、中国の米国産品の輸入拡大、米国の中国企業への一部制裁解除など前向きな話が出ています。部分合意が達成され、15日に予定されている中国への追加関税発動が回避されれば、ドル円は、しばらくは底堅い動きとなるでしょう。とはいえ、米国のさらなる利下げ観測もあり、上値は限定的と思われます。

◆Jリート :高値もみ合い

世界的に低金利環境が続く中、相対的な分配金利回りの高さに着目した買いが継続し、東証REIT指数は週央まで6営業日続伸し、2007年7月以来およそ12年3か月ぶりの高値まで上昇しました。ただ、週後半は利益確定売りが優勢に。9月末の東京都心のオフィス空室率は1.64%まで低下、平均賃料は69か月連続で上昇と、良好なオフィス市況が続いています。利益確定売りに押されながらも、高値圏での底堅い推移が続きそうです。

来週の注目点

訪日外国人客数(9月) 10月16日(水)午後4時発表 

訪日外国人客数は8月に前年比2.2%減の252万人と、台風や地震の影響で減少した昨年9月以来の減少となりました。日韓関係の悪化に伴い韓国からの訪日客が同48.0%減と、急減したことが主因です。

一方、中国からの訪日客は8月に同16.3%増と大幅に増加しているほか、東南アジアや米国からの訪日客も増加しています。ただ、韓国からの訪日客は昨年、全体の約24%と、中国(約27%)に次ぐ割合を占めました。よって、その減少が続いた場合、全体の訪日客が頭打ちとなる可能性があり、日本の観光産業などに打撃を与えそうです。

米小売売上高(9月) 10月16日(水)午後9時30分発表

米国の小売売上高は8月に前月比0.4%増と市場予想を上回る堅調な結果となりました。飲食店、自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は前月比0.3%増とやや伸びが鈍化しました。全体的には堅調でしたが、飲食店、食品や総合小売りなどは減少しました。

米国景気の先行きには減速懸念があるものの、引き続き個人消費は比較的堅調で、特にオンラインショップや自動車販売は伸びています。前年比3%程度の着実な賃金上昇と半世紀ぶりの低失業率などがその背景と思われます。9月は前月比0.3%増程度を想定しています。

 

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