来週の金融市場見通し(2019年10月7日~2019年10月11日)

■来週の見通し

米サプライマネジメント協会(ISM)の9月の製造業景況指数が景気拡大・縮小の節目となる50を2か月連続で下回り、10年3か月ぶりの低水準、非製造業景況指数も2016年8月以来の低水準となり、米国景気の減速懸念が高まりました。米国株は大幅安になりましたが、米利下げ期待が強まり、下げが一服しました。来週は10、11日にワシントンで米中の閣僚級の貿易協議が予定されています。協議が進展し、15日に先送りされた中国製品への制裁関税拡大が撤回されるかが注目されます。

◆株価 :小幅な上昇を予想

日本株は、小幅な上昇が予想されます。米国景気の減速懸念を背景に日本株は一旦大幅に下落したものの、米国では雇用などが底堅いため、景気後退に陥る可能性は当面低いとみられます。また、米国の利下げ期待も、日本株などを支える見通しです。さらに、10日からの米中の貿易協議において何らかの建設的な合意がなされる、との期待が高まりそうです。ただし、米国の金利低下に伴う円高が、日本株の上値を抑制する見込みです。

◆長期金利 : 居所を探る

長期金利は、日銀が10月の国債買い入れオペの方針で、25年超の1回あたりの買入額の範囲を0~500億円に減額し、買入れを行わない可能性もあるとしたことから、マイナス0.145%まで上昇しました。ただ、米経済指標の悪化を受け、再び低下する動きになりました。日銀の追加緩和や米国の利下げ観測も強まっており、国内金利は動きにくい状況。米金利動向や日銀の国債買い入れオペを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : ドル円は下値を探る展開か

米ISM製造業景況指数など景気指標が予想外に悪化したことで、米国景気の減速が懸念されており、ドル円は下値を探る展開です。米長期金利は再び低下傾向であり、ドル円の上値は限られるでしょう。米中は10,11日に閣僚級の貿易協議を予定しており、万が一何も合意ができなかった場合、ドル円は急落の可能性もあります。ただし今後の動きは協議の結果次第となりそうで、週前半は一方的に下も攻めにくい状況です。

◆Jリート :高値圏で底堅い

東証REIT指数は、週初は金利上昇を受け、利益確定売りが優勢になったものの、その後は長期金利が低下に転じたことから、相対的に高い分配金利回りに着目した買いから、堅調な動きになりました。米経済指標の悪化から利下げ観測が強まっていること、日銀についても追加緩和観測がくすぶっていることから、長期金利は低位での推移が見込まれます。スピード調整が入る可能性がありますが、押し目買いから底堅い動きが継続しそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(9月) 10月8日(火)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DI(指数)は、8月に前月比1.6ポイント上昇の42.8と、低水準ながらも4か月ぶりに上昇しました。消費税増税前の駆け込み需要などが、小売関連などのDI上昇に寄与しました。

ただ、米中貿易摩擦などを背景に、製造業関連の現状判断DIは低下傾向が続いています。また、先行き判断DIについては、増税への懸念を背景に、小売関連を中心として顕著に低下しています。これらを踏まえると、9月調査でも景況感の低迷が示されると見込まれます。

米消費者物価指数(9月) 10月10日(木)午後9時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、8月に総合で前年比1.7%上昇し、市場の予想通りとなりました。一方、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.4%の上昇と予想を上回り、物価上昇がようやく根付き始めた状況を示唆しました。

9月1日に中国製品に対する追加関税が発動されたことから、今後インフレは加速する可能性があります。米中貿易協議の行方は予断を許さず、世界景気に不透明感が広がるものの、インフレの今後のすう勢に注目です。9月は総合で前年比1.9%、コアCPIで同2.4%程度の上昇を想定しています。

 

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