来週の金融市場見通し(2019年9月16日~2019年9月20日)

■来週の見通し

トランプ米大統領が、10月1日に予定していた2,500億ドル分の中国製品への関税引上げを2週間延期、また中国は米国農産物の輸入手続きを再開すると発表するなど、米中の対立が和らいでいます。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の追加利下げを決定するとみられますが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見などで継続的な利下げ観測が後退すると、やや荒れた展開になる可能性があります。米中の動向に加え、日銀決定会合後の黒田総裁なども確認したいところです。

◆株価 :底堅いながらも上値は重い

日本株は底堅いながらも上値の重い展開が予想されます。特に、米中貿易協議で暫定的な合意に達するとの観測が浮上していることが好材料となりそうです。米国における追加利下げへの期待も市場心理をサポートするとみられます。ただ、製造業を中心に世界経済の減速は続いており、市場には慎重姿勢も残っています。また日経平均株価は、やや急ピッチで上昇したため、利益確定売りに押される場面も見込まれます。

◆長期金利 : 切り上げた水準で居所を探る

米中の対立激化への警戒が後退し、安全資産とされる国債を買う動きが弱まり、長期金利はマイナス0.16%と8月1日以来の水準まで上昇しました。黒田日銀総裁がインタビューで、超長期金利はちょっと下がりすぎと指摘したことも、国内金利を押し上げたとみられます。米長期金利も1.7%後半まで上昇しており、国内の長期金利も低下しにくい状況です。FRBや日銀、また米中の動向を確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : レンジ継続

10月初旬に米中貿易摩擦問題について閣僚級の協議が行われる見通しとなったこと、米財務長官と中国人民銀行総裁が為替について議論する見込みとなったこと等から市場に安心感が出ており、ドル円は底堅い動きを見せています。引き続き世界景気の減速懸念は強く、ドル円の上値は限定的と思われますが、米中関連情報に注目しながらしばらくはレンジの中、方向感を探る展開が継続すると考えています。

◆Jリート :高値もみ合い

一時2,145ポイントと、節目の2,150ポイントに迫った東証REIT指数でしたが、長期金利の低下が一服する中、利益確定売りに押され、一時2,100ポイントを割り込みました。ただ週末には、米中貿易交渉の進展期待などを背景に、投資家のリスク選好姿勢が強まったことから、4営業日ぶりに反発し、前週比プラスで終えました。長期金利上昇は下押し材料も、分配金利回りの高さに着目した根強い買いが下支えする構図が継続しそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(8月) 9月20日(金)午前8時30分発表 

日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は7月に前年比0.6%上昇と、6月と同じ伸びにとどまりました。食品の値上げが上昇に寄与した一方、携帯電話通信料の下落などがインフレ率を抑制しています。

8月についても、コアCPIは0.6%程度の上昇が見込まれます。消費税増税前の駆け込み需要が耐久財の価格を若干押し上げるとみられるものの、原油安を受けたエネルギー価格の下落などを踏まえると、インフレ率は当面、0%台で推移する見通しです。

米鉱工業生産(8月) 9月17日(火)午後10時15分発表

7月の米鉱工業生産指数は、全体で前月比0.2%の低下(前年比0.5%上昇)、製造業の生産は同0.4%低下と両者とも市場予想を下回りました。米中貿易戦争のあおりを受け、世界的に低調な需要を背景に、製造業の直面する厳しい状況を示唆しました。また、製造業における設備投資が鈍化している中、設備稼働率は77.5%と2017年10月以来の低水準でした。

8月の同指数は全体、製造業とも7月の反動から前月比若干のプラスになると想定されますが、世界的な需要減は米国の製造業を引き続き圧迫すると思われます。

 

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