来週の金融市場見通し(2019年9月2日~2019年9月6日)

■来週の見通し

中国商務省が「9月の交渉について話し合っている」と表明したことから、米中の貿易協議の進展期待がやや強まっています。もっとも、トランプ米大統領が8月23日に表明した、発動ずみの中国製品2,500億ドル分と制裁関税「第4弾」の3,000億ドル分に対してさらに上乗せする追加関税を取り消すことが、貿易協議開催の前提としています。9月1日に発動される対中の制裁関税「第4弾」の関税が10%であれば安心感が、15%に引き上げられた関税が課されると、米中貿易協議への懸念が広がる可能性があります。

◆株価 :緩やかな上昇を予想

日本株は緩やかな上昇が予想されます。米中貿易摩擦については米中とも協議継続に前向きな姿勢をみせており、それに対する期待が株価を支える見通しです。また、世界的な債券利回り低下を受け、株式の相対的な魅力が高まっていることも株価のポジティブ材料です。ただし、米中の協議には不透明要素が多いほか、円高圧力が根強いことなどから、日経平均株価は2万1千円近辺が当面の上値目途とみられます。

◆長期金利 : マイナス0.30%が当面の下限か

米中貿易摩擦を背景に、世界経済の減速懸念が一段と強まる中、相対的に安全な資産とされる債券を買う動きが優勢になりました。29日には長期金利はマイナス0.29%と、過去最低のマイナス0.30%に迫りました。日銀が30日の国債買い入れオペで、残存期間5年超10年以下の買い入れ額を、前回のオペから500億円減らし、長期金利の低下を抑制する姿勢を示しました。マイナス0.30%が当面の下限となりそうです。

◆為替 : ドル円は上値重く当面レンジか

.9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)においてもう一段の利下げが想定されることから、米長期金利は低下基調で推移すると思われます。それを受けドル円は基本的には下落基調での推移となるでしょう。また、米中貿易協議はますます不透明感が広がっています。世界経済の減速懸念からリスク回避的な円買いが出やすい状況です。とはいえ、世界的な金利低下を受けて日米株価が持ちこたえれば下値も限定的だと思われます。

◆Jリート : 高値圏での底堅い動き

東証REIT指数は、高値圏でのもみ合いの中、わずかに下落しました。およそ12年ぶりの高値まで上昇する中、利益確定売りに押されるものの、世界景気の減速が意識され国内外の金利低下が続く中、Jリートの相対的に高い分配金利回りに着目した投資家の買いが、下支えする構図です。長期金利が過去最低に迫る一方、Jリートの予想分配金利回りは3.6%台と魅力的。利回りを求める資金の流入から、高値圏での底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

毎月勤労統計(7月) 9月6日(金)午前8時30分発表 

毎月勤労統計調査によると、6月の従業員1人あたり名目賃金は前年比0.4%増となりました。ただ、物価上昇分を調整した実質賃金は同0.5%減と、6か月連続のマイナスとなりました。業績低迷を受け夏のボーナスが低調となる中、7月も賃金の伸び悩みが示される見込みです。とはいえ、物価上昇率も低下しているため、実質賃金のマイナスは小幅なものにとどまりそうです。

なお、本統計については今年1月に調査対象企業の部分入替えが行われています。これに伴い今年の賃金上昇率は実態よりも若干低めに算出されている可能性がある点に、注意が必要です。

米雇用統計(8月) 9月6日(金)午後9時30分発表

7月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比16万4,000人増と着実なペースで増加し、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比3.2%上昇と、市場予想を上回る強い結果となりました。また、失業率は3.7%と、半世紀ぶりの低水準が続いています。

賃金が前年比3%程度伸びる中、今後も個人消費は米景気を下支えすると思われます。しかし雇用者数の伸びは3か月平均で14万人増とこの2年近くで最も低くなっており、今後雇用者数の伸びは若干減速しそうです。8月は前月比16万人程度の増加が想定されています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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