来週の金融市場見通し(2019年8月12日~2019年8月16日)
■来週の見通し
トランプ米政権は、1日に対中制裁関税の第4弾の発動を表明したのに続き、5日には中国を経済制裁の対象となる「為替操作国」に指定しました。また、中国が米国からの農産品の購入を一時停止したことを受け、「華為技術」(ファーウェイ)への輸出規制緩和の決定を先送りしていると伝えられています。同政権は9月1日に発動する制裁関税第4弾の対象となる中国製品3,000億ドル相当の最終リストの作成を急いでいる模様です。米中の対立や人民元の動きなどをにらみながら方向感を探る展開が続きそうです。
◆株価 : 戻りを試す展開か
日本株は戻りを試す展開が予想されます。米中貿易摩擦の激化や世界景気の減速懸念から円高・株安が一旦急速に進んだものの、米中の協議が完全に決裂したわけではなく、現段階で過度に悲観する必要はないと考えられます。また、各国の金融緩和などにより、主要国の極端な景気後退は回避される見通しです。ただ、円高圧力は残る可能性が高いことから、日経平均株価については2万1千円付近が当面の上値目途とみられます。
◆長期金利 : 低位もみ合い
米中の対立激化への懸念から、安全資産とされる国債は買いが優勢。長期金利はマイナス0.225%と、日銀が容認する下限のマイナス0.2%を下回りました。日銀は国債買い入れオペを減額したものの、反応は限定的でした。市場が織り込む米国の9月の利下げ確率は100%、9月を含め年内2回以上の利下げ確率も90%程度まで上昇しています。米利下げ観測や米中対立への懸念などから、長期金利は上昇しにくい状況が続きそうです。
◆為替 : ドル安地合い継続
トランプ米大統領が中国からの輸入品3,000億ドルについて10%の追加関税を発表したことから、米中貿易協議の行方が混とんとしており、リスク回避の円買いが出やすい状況です。米国が中国を為替操作国に指定したものの、中国が今のところ意図的に元安政策をとっていないとみられることから、いったん市場は落ち着きを見せていますが、米長期金利の上昇余地は乏しく、ドル円は徐々に下値を探る展開となりそうです。
◆Jリート : 上昇余地を探る
東証REIT指数は、米中の対立激化を受け投資家心理が悪化したことから、一時2,000ポイントを下回ったものの、すぐに2,020ポイント台を回復しました。7月末の東京都心オフィス空室率は前月比0.01ポイント低下し1.71%、平均賃料は67か月連続で上昇。また、株式市場がやや不安定な動きになる中、貿易摩擦の影響を受けにくいことも安心材料です。分配金利回りに着目した買いなどから、上昇余地を探る動きが見込まれます。
■来週の注目点
機械受注(6月) 8月14日(水)午前8時50分発表
機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、5月に前月比7.8%減の8,429億円となりました。ただ、これは4月まで3か月連続で増加した反動もあるため、内閣府は「持ち直しの動きがみられる」との基調判断を据え置きました。
しかし6月の機械受注についても、前月比減少が見込まれます。国内景気の回復が鈍いとみられる上、米中貿易摩擦などによる輸出の低迷を背景に、投資に対する企業の慎重姿勢は今後さらに強まる可能性が高いとみられます。
米消費者物価指数(7月) 8月13日(火)午後9時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は、6月に総合で前年比1.6%上昇と予想通りでしたが、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.1%の上昇となり、予想を上回りました。足元、総合ではガソリン価格の下落が全体のインフレ抑制の主要因となっている一方で、コアCPIでは居住費や被服費、中古車等、幅広い範囲で上昇しています。
米中貿易協議の行方が混とんとしており、不透明感は広がるものの、失業率が歴史的な低水準にあり、賃金は年3%程度の伸びを維持しており、足元、インフレ指標がやや堅調な動きをみせていることから、今後のすう勢に注目です。7月は総合CPIで前年比1.7%、コアCPIで同2.1%程度の上昇を想定しています。
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