来週の金融市場見通し(2019年7月29日~2019年8月2日)

■来週の見通し

欧州中央銀行(ECB)は理事会で、政策金利を2020年前半まで「現状か、より低い水準にする」と、利下げもありうるとの方針を示すとともに、緩和策の具体的な検討を委員会に指示しました。ただ、ドラギ総裁が「景気後退のリスクは極めて小さい」と発言したことから、過度な緩和期待が後退し、独株は下落、独長期金利は上昇する動きになりました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げが見込まれます。さらなる利下げへの期待が強まるかが、金融市場の反応を左右しそうです。

◆株価 : やや軟調な展開を予想

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。6月以降、米欧の金融緩和期待が世界的に株価を押し上げており、実際7月末には米国で利下げが決まると予想されます。ただ、そうした目先の緩和策は、かなりの程度、株価に織り込み済みとみられます。こうした中、日本企業の低調な決算などが当面の株価を圧迫しそうです。とはいえ、円高が一服していることや、米中通商協議が再開されることなどから、株価の大幅下落は考えにくい情勢です。

◆長期金利 : FOMCにらみ

7月末のFOMCで米連邦準備制度理事会(FRB)が、0.5%の大幅な利下げに踏み切るとの観測は後退する一方、ECBの緩和観測が支えになり、米長期金利が一進一退の動き。国内の長期金利もマイナス0.15%を挟んだ狭いレンジでの動きが続きました。FOMCでは0.5%の利下げへの期待も残るため、0.25%の利下げでは日米の長期金利は上昇で反応する可能性も。日銀が金融政策決定会合で緩和姿勢を強めるかも注目されます。

◆為替 : ドル安地合いも動きは鈍そう

ドル円は、来週のFOMCでの0.25%の利下げを織り込んでいるものの、結果を見るまでは動きづらい状況です。過度な利下げ期待は後退しているものの、パウエルFRB議長の議会証言等を受けて引き続き利下げ観測が根強く、ドル円の上値は限定的です。今後は7月末の利下げ後の利下げ幅に関する市場の思わくや、30-31日に予定されている閣僚級の米中通商協議に関する情報等に振らされそうです。

◆Jリート : 売りに押される可能性も

東証REIT指数は、2,000ポイントを割ることなく、高値圏でのもみ合いが続きました。2007年以来の水準まで上昇してきていることから、引き続き利益確定売りが上値を抑えそうです。FOMCをきっかけに日米の長期金利が若干上昇すると、売りが広がる可能性があります。とはいえ、内外の中央銀行が緩和姿勢を強め、長期金利が低位で推移する中、3.7%半ばと相対的に高い予想分配金利回りに着目した買いが下支えするとみられます。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 7月30日(火)午後に結果発表 

日銀金融政策決定会合では、現行の金融緩和政策の維持が決定される見通しです。足元、物価上昇率が鈍化していること、および米国やユーロ圏で金融緩和が見込まれることを踏まえ、日銀の追加緩和を期待する向きも散見されます。しかし、超低金利の長期化による金融機関の収益悪化懸念などから、日銀の黒田総裁らは現在、追加緩和に対し慎重姿勢を示しています。そのため、ドル円が100円を割り込むような円高が進行しない限り、日銀が年内に追加緩和を行う可能性は低いとみられます。

米個人消費支出(6月) 7月30日(火)午後9時30分発表

5月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増と市場予想を若干下回りましたが、堅調な伸びを示しました。一方で、PCE価格指数は市場予想通りの前年比1.5%上昇となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)に及びませんでした。

個人所得が5月に前月比0.5%増と4月から連続で今年最大の伸びを示すなど、個人所得、個人消費とも堅調です。しかしPCE価格指数はFRBの掲げるインフレ目標を大きく下回っていることから、今月末の米国の利下げは正当化されそうです。6月のPCE価格指数は5月同様、前年比1.5%程度の上昇を想定しています。

 

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