来週の金融市場見通し(2019年4月1日~2019年4月5日)
■来週の見通し
景気減速への警戒感が強まる中、来週は米中の閣僚級の貿易協議に加え、内外の経済指標が注目されます。米国ではISM製造業景況指数、非製造業景況指数に加え、週末には雇用統計が、国内では日銀企業短期経済観測調査(日銀短観、3月調査)、景気動向指数が発表されます。内閣府は前回、景気動向指数の基調判断を「下方への局面変化を示している」へ下方修正しました。1日には新元号が発表されます。
◆株価 : 持ち直しの動きを予想
日本株は持ち直しの動きが予想されます。円高の進行や世界的な景気減速懸念から、日本株は一時、他国に比べ大幅な下落を余儀なくされました。とはいえ足元は円安へ振れている上、景気減速懸念については、やや行き過ぎとみられます。そのため、日経平均株価が一方的に下落し続けるとは考えにくい情勢です。ただし、日銀短観や米小売売上高など内外の経済指標を見極める必要があるため、様子見姿勢が強まる場面もありそうです。
◆長期金利 : 引き続き居所を探る
長期金利は、28日には一時マイナス0.10%と、2016年8月以来の低水準を付けました。米国では年内の利下げを織り込む動きになっていますが、米長期金利が2.4%前後まで低下しており、一段の利下げ観測が強まらない限り、さらなる金利低下は限定的となりそうです。国内の長期金利についても、米金利が落ち着けば、低下圧力は後退するとみられます。日銀の国債買入れオペの運営などを確認しながら、居所を探る動きが続きそうです。
◆為替 : 調整を経ながら下値トライ
米連邦準備制度理事会(FRB)は今年の利上げを見送るとしています。米国景気の減速懸念や米株の下落から米長期金利は2.4%を割れており、今年中の利下げを織り込む動きまで見られます。ドル円の上値は重く、引き続き調整を経ながら下値を試す展開となるでしょう。また、欧州金利も低下基調であり、対ユーロでも円高が進みやすい地合いです。米中通商協議は長期化の可能性が高まっており、引き続きリスク要因です。
◆Jリート : 高値圏で一進一退
週初に急落した国内株が持ち直し、投資家心理が回復したことや、長期金利の低下を背景に、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、東証REIT指数は2年10か月ぶりの高値まで上昇。配当込みの東証REIT指数は過去最高値を更新しました。ただ、週後半は利益確定売りが優勢に。長期金利がマイナス圏で推移する中、利益確定売りに抑えられながらも、投資家の利回り選好を背景に、上昇余地を探る展開が続きそうです。
■来週の注目点
日銀短観(3月調査) 4月1日(月)午前8時50分発表
昨年12月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス19と、9月調査から横ばいでした。
今回の3月調査では、中国向け輸出の不振や半導体関連の需要低迷などを背景に、大企業製造業のDIはプラス13程度へ悪化する見込みです。非製造業についても悪化が見込まれるものの、インバウンド消費(訪日外国人による消費)などに支えられ、比較的小幅な悪化にとどまる見込みです。
米雇用統計(3月) 4月5日(金)午後9時30分発表
2月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比2万人増と市場予想を大きく下回り、1年5か月ぶりの小幅な伸びにとどまりました。一方で今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比で3.4%と予想を上回り、失業率は3.8%に低下しました。
賃金の伸びは前月より加速しており、米国の労働市場は引き続き好調と思われますが、若干の陰りが見え始めているとの指摘もあり、今後の推移を見守る必要があります。3月の非農業部門就業者数は前月比17万人程度の増加、失業率は3.8%、平均時給は2月同様前年比3.4%程度の上昇を想定しています。
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