来週の金融市場見通し(2019年3月11日~2019年3月15日)

■来週の見通し

欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の成長見通しを大幅に引き下げるなど、世界経済の減速懸念が広がっています。来週は、米中通商協議の進展をにらみつつ、米国の小売売上高、消費者物価指数、中国の工業生産、小売売上高などの主要経済指標を確認していく必要があります。12日の英国議会で欧州連合(EU)離脱合意案が否決されると、合意なき離脱への警戒が強まる可能性があり注意が必要です。

◆株価 : 方向感を欠く展開か

日本株は方向感を欠く展開が見込まれます。国内外の景気減速懸念が広がっている上、米中通商協議が大詰めを迎える中、積極的な買いが手控えられる状況が続きそうです。円高の進行も日本株の上値を抑える見込みです。ただ、米経済は消費を中心に依然堅調とみられ、中国については減税などの景気対策が期待できます。そのため、日経平均株価が2万1千円を大きく割り込む場面では、割安感に着目した買いが入りそうです。

◆長期金利 : 一進一退

週初は株価の上昇を受けて投資家のリスク回避姿勢が後退し、長期金利は4日には0.0%まで上昇と、マイナス圏を脱しました。ただ、その後は30年国債入札が順調だったことや、世界経済の減速懸念を背景に株価が大きく下落する中、安全資産とされる国債を買う動きが強まり、マイナス0.035%まで低下しました。来週の日銀金融政策決定会合は現状維持の見込み。黒田総裁の記者会見などで居所を探ることになりそうです。

◆為替 :  ドル円は徐々に下値トライ

米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げについて様子見姿勢であることから、米長期金利はやや低下基調で推移、ドルの上値を抑えます。米中通商協議は3月27日の米中首脳会談での手打ちを目指していますが、円満合意への期待値が上がり過ぎている懸念があります。また、欧州の成長見通しが下方修正され、米国景気の減速を示す指標も散見され始めており、ドルの上値は112円半ばで限定的。ドル円は徐々に下落基調になりそうです。

◆Jリート :  利益確定売りが重し

東証REIT指数は、週前半は値ごろ感からの買いや、分配金利回りの相対的な高さに着目した買いなどから堅調な動きになったものの、週央以降は利益確定売りに押される展開になりました。週末は株価の大幅下落を受け、投資家心理が悪化したことも売り材料に。長期金利が再びマイナス圏で推移する中、Jリートの予想分配金利回りは4%を若干超える水準。底堅い推移が見込まれますが、上値では利益確定売りに押される展開が続きそうです。

来週の注目点

機械受注(1月) 3月13日(水)午前8時50分発表 

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、昨年11月に前月比0.02%減、12月に同0.06%減(8,626億円)と、2か月連続で減少しました。また、10-12月期では前期比4.2%減と、6四半期ぶりに減少しました。

1月も小幅な減少が示される見込みです。海外経済の減速などを背景に、企業の投資姿勢は慎重なものになっています。一方、特に非製造業では人手不足などに対応するための投資意欲が根強い模様です。よって、機械受注が大幅に落ち込む可能性は低いとみられます。

米消費者物価指数(2月) 3月12日(火)午後9時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、1月に総合CPIで前年比1.6%上昇と前月より伸びが鈍化するとともに2017年6月以来の低い伸びとなりました。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比2.2%の上昇と前月と同じ伸びとなりました。 

総合CPIはガソリン価格が前年比10.1%低下するなど昨年秋以降のエネルギー価格の下落が影響しています。コアCPIでは住宅や衣料品などの上昇は継続していますが、今後もインフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)の目標(2.0%)付近で抑制されると考えています。2月は総合CPIで前年比1.6%、コアCPIは同2.2%程度の上昇を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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