来週の金融市場見通し(2019年3月4日~2019年3月8日)

■来週の見通し

米朝首脳会談は合意できず、市場は一時リスクオフ(回避)に傾いたものの、影響は限定的。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言はサプライズなしでした。米中通商交渉は、交渉期限が延期され、3月下旬にも米中首脳会談を開き最終合意を目指すと伝えられています。引き続き、米中通商交渉の動向で振らされそうです。中国の全国人民代表大会(全人代)、米雇用統計も確認したいところです。

◆株価 : 底堅い動きを予想

日本株は底堅い動きが見込まれます。今年の日本株は米国株や中国株などに比べ小幅な上昇率にとどまっており、割安感に着目した買いが期待できそうです。また、米中通商協議の合意は近いとみられますが、詳細は依然として不明確です。そのため実際に合意に至れば、市場ではひとまず好感されそうです。ただ、近々の開始が見込まれる日米通商協議への警戒感もあり、日経平均が2万2千円台に乗せる可能性は高くないと考えられます。

◆長期金利 : 居所を探る

米中通商交渉の進展期待に加えて、日銀が国債買入れオペの運営方針で、残存期間「5年超10年以下」買入れを実質的に減額したことを受け、長期金利は一時マイナス0.01%まで上昇しました。日銀がマイナス金利の深掘りを抑制する姿勢を示したことから、長期金利はやや低下しにくくなっています。来週は、10年国債入札や「5年超10年以下」の国債買入れオペなどを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :  明確な方向感は見いだせず

米連邦準備制度理事会(FRB)は次の利上げについて様子見姿勢。米長期金利は2.8%を超えず推移しておりドルの方向感を示しません。米中通商協議は順調に進展しているようで、3月1日の関税引き上げ期限延期が示唆されていることから、ドルの下支え要因となっています。しかし知的財産権や技術移転関連については両国の溝は深いと思われ、来週も同協議関連の情報に振らされる可能性は高く、動きづらい状況が続くと思われます。

◆Jリート :  一進一退

東証REIT指数は週初に昨年来高値を更新したものの、長期金利がじりじりと上昇したことを受け、利益確定売りに押される展開になりました。もっとも、長期金利は上昇したとはいえまだマイナス圏で推移する一方、Jリートの予想分配金利回りは4.0%強と相対的に高い水準。米中通商交渉の進展期待などが一段と強まると、長期金利が上昇し、売りに押されることも想定されますが、利回りに着目した買いなどが下支えしそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(2月) 3月8日(金)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DI(季節調整値)は1月に前月比1.2ポイント低下の45.6と、「良い・悪い」の境目とされる50を下回りました。飲食関連を中心に家計部門が低下しました。一方、企業部門では改善の動きがみられ、2月の現状判断DIは若干の上昇が見込まれます。

今後についても、5月の改元に伴う祝賀ムードや大型連休による消費活性化への期待などを背景に、家計部門の景況感は改善の動きを示しそうです。また、米中の貿易摩擦が和らぎつつあることなどから、企業部門についても、景況感は緩やかな回復傾向をみせる見通しです。

米雇用統計(2月) 3月8日(金)午後10時30分発表

1月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比30万4,000人増と市場予想を大きく上回りました。一方で政府機関一部閉鎖の影響を受け、失業率は4.0%に上昇しました。また、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比3.2%増と予想通りとなりました。

米国の労働市場は引き続き好調な状況です。しかし賃金の伸びは前月比で0.1%増にとどまるなど、インフレ圧力は高まっていません。2月の非農業部門就業者数は前月比17万人程度の増加、失業率は3.8%、平均時給は1月同様前年比3.2%程度の上昇を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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