来週の金融市場見通し(2019年2月25日~2019年3月1日)
■来週の見通し
来週末の3月1日に、米国の中国製品に対する追加関税の猶予期限、また米国の債務上限の適用凍結期限が到来します。米中通商交渉については、知的財産権保護など中国の構造改革に関して覚書が準備されていると報じられており、着実に進展している模様です。他方、米議会が債務上限の引き上げを認めなければ新たな借り入れができなくなり、米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性も出てきます。
◆株価 : 神経質な展開に
日本株は神経質な展開が見込まれます。引き続き米中通商協議の進展期待に支えられる一方、世界経済の減速への警戒感が相場を圧迫しそうです。こうした中、米国の国内総生産(GDP)、中国の購買担当者景気指数(PMI)、日本の鉱工業生産など、多くの重要指標が発表されます。日経平均株価は2万1千円台半ばを中心とした推移が予想されますが、米中通商協議や各経済指標の結果によっては、変動幅が広がる可能性もあります。
◆長期金利 : マイナス圏でのもみ合い
米FRBの金融引き締め観測が後退していることに加え、黒田日銀総裁が「円高で経済、物価に影響があれば、追加緩和を検討」と発言するなど、日銀の金融政策についてやや緩和の方向が意識される中、国内金利は上がりにくい状況。22日には長期金利は一時マイナス0.05%まで低下しました。もっとも、一段の低下は行き過ぎとの見方が広がる可能性も。月末に公表される日銀の国債買入れ予定も確認する必要があります。
◆為替 : 方向感を見出しにくい
米連邦準備制度理事会(FRB)は次の利上げについて様子見姿勢です。米長期金利は2.7%程度で方向感なく推移を続けていることから、ドル円の強い買い材料とはなりません。3月1日の米中通商協議の期限が迫る中、その成り行きに市場は注目しており、関連情報に振らされる可能性は高いものの、来週も動きづらい状況が続くと思われます。基本的にリスク選好の動きは出にくく、ドル円は110円台での推移が続くと思われます。
◆Jリート : 一進一退
Jリート市場は、利益確定売りに押されながらも、押し目買い意欲も根強く一進一退の動き。ただ、週末には長期金利が一時マイナス0.05%まで低下したことを受け、相対的に高い分配金利回りに着目した買いが強まり、東証REIT指数は1,850ポイントを回復しました。Jリートの予想分配金利回りは相場の上昇を受け若干低下したものの、4%程度と高い水準。一進一退の中、上値を探る展開が続きそうです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(1月、速報値) 2月28日(木)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は昨年12月に前月比0.1%低下し、104.7(2015年=100)となりました。業種別にみると、生産用機械工業、電子部品などが低下した一方、汎用・業務用機械工業、自動車工業などが上昇しました。
輸出の減速や在庫調整などを背景に、鉱工業生産は力強さを欠く状況が続く見通しです。そのため1月についても、指数は前月比低下が見込まれます。四半期ベースでみても、一旦10-12月期に持ち直した後、1-3月期は前期比低下の可能性が高いとみられます。
米個人消費支出(12月) 3月1日(金)午後10時30分発表
昨年11月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増となり、市場予想を上回りました。また、PCE価格指数は前年比1.8%上昇となり、米連邦準備制度理事会 (FRB)の物価目標(2%)をやや下回りました。
米国景気は比較的堅調ですが、先日発表された昨年12月の米小売売上高が前月比1.2%減と市場予想を大きく下回ったことから、同月の個人消費支出は注目材料です。また、ここのところFRBが注目するPCE価格指数の上昇が鈍っており、インフレ傾向の鎮静化が見られます。12月の個人消費支出は前月比0.3%程度、PCE価格指数は前年比1.7%程度の上昇を想定しています。
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