来週の金融市場見通し(2019年2月18日~2019年2月22日)

2019/02/15

■来週の見通し

米国の上下院が可決した予算案にトランプ大統領は署名するとみられ、米政府機関の閉鎖は回避される見通しです。ただ、足りない国境の壁の建設費を確保するために、非常事態が宣言されると、米政治の混乱が広がる可能性があります。他方、米中通商交渉で合意に向けた進展がみられると、安心感が広がることも想定されます。また、米連邦公開市場委員会(FOMC、1月開催)の議事要旨も確認したいところです。

◆株価 : 上値の重い展開に

日本株は上値の重い展開が予想されます。市場心理は改善しており、日経平均株価は一時2万1千円台を回復しました。特に、米中貿易摩擦の緩和期待やドル高・円安が株価反発を後押ししました。とはいえ米国の利上げ打ち止め観測を受け、今後はドル安・円高へ振れる場面が見込まれます。また、日本企業の10-12月期決算では減益が目立っています。これらを踏まえると、株価の上値を積極的に追う動きは限定的なものになりそうです。

◆長期金利 : マイナス圏での動きが継続

長期金利はマイナス圏での動きが続いています。日銀は12日の国債買入れオペで、「10年超25年以下」のオファー金額を減額し、金利低下を抑制する姿勢を示しました。長期債や20年債などの超長期債利回りは若干上昇しましたが、動きは限定的で、週末には再び低下に転じました。米利上げ観測が後退していることに加え、利回りがプラスである超長期債を選好する動きは根強く、金利が上昇しにくい状況。低位での推移が続きそうです。

◆為替 :  ドルの上値は次第に重く

政策金利の変更について、米連邦準備制度理事会(FRB)が様子見姿勢と見られる中、14日に発表された昨年12月の米小売売上高は予想外の減少率となり、景気拡大をけん引してきた個人消費に懸念が生じています。米長期金利は上昇を抑えられ、また、米中貿易協議の行方に懸念が高まっているうえ、国境の壁建設に関し米議会は荒れ模様です。リスク選好の動きは出にくく、ドル円は緩やかながら低下基調で推移すると思われます。

◆Jリート :  値固めをしながら上値を探る

1月の投資部門別売買状況では、投信、銀行(除く日銀)は売り越したものの、海外投資家は大きく買い越しました。海外投資家の買いが続いていることや長期金利が低位で推移していることは安心材料です。Jリートの予想分配金利回りは4%程度。相対的に高い分配金利回りに着目した買いも期待できます。米中通商交渉の進展などをにらみつつ、東証REIT指数は1,800ポイント台で値固めをしながら、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

機械受注(12月) 2月18日(月)午前8時50分発表 

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、昨年11月に前月比0.02%減の8,631億円となりました。市場予想では増加が見込まれていましたが、製造業からの受注減などに足を引っ張られました。

12月は前月比増加が見込まれるものの、10-12月期は6四半期ぶりに前期比減少となる見通しです。これは、国内景気を下支えしてきた設備投資の鈍化を示唆していると考えられます。この場合、今年の景気回復は極めて鈍いものにとどまりそうです。

ユーロ圏製造業PMI(2月)  2月21日(木)午後6時発表

1月のマークイットユーロ圏総合PMIは51.0と前月より低下しました。昨年1月の58.8をピークにほぼ一貫して低下しています。また、製造業PMIも50.5と、2017年12月のピーク(60.6)からの低下基調を脱することができませんでした。

ユーロ圏では中国景気の減速などを受けて域外需要が低迷しており、製造業中心に減速感が強まっています。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は、景気見通しは下方にシフトしており、大規模な金融緩和が依然必要だとしています。2月は景気の拡大・縮小の分岐点である50が迫っており、割り込むかどうか注目されています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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