楽天証券投資Weekly 2013年6月21日 第42号

2013/06/21

マーケットコメント:バーナンキ発言で日経平均株価は一時下落したが、金曜日後場から大幅高へ。

アメリカの金融緩和、年内に縮小開始へ:2013年6月17日の週の株式市場は、週前半はやや円安になってきたこと、アメリカでQE3の早期縮小見通しが後退したこと、日経平均のチャート面での値頃感などから買われ、日経平均は13,000円台を維持する展開となりました。

しかし、19日のFOMC後のFRBバーナンキ議長の会見で、QE3(量的金融緩和第3弾)の縮小を年内にも開始するという発言があったことから、19日、20日とNYダウは続落し、それに連れて日経平均も下落しました。20日は前年比230.64円安の13,014.58円で引け、21日は11時までに一時前日比300円以上安くなり13000円を割りました。自動車、電機、機械、不動産など輸出グローバル関連、内需関連がともに安くなり、新興市場のバイオ関連,IT関連も安い展開になりました。

しかし、21日後場になると、円安が支援して日経平均は上昇に転じ、21日は結局前日比215.55円高の13,230.13円で引けました。再び13,000円台に戻りました。トヨタ自動車本田技研工業日産自動車富士重工業などの自動車、村田製作所京セラ日本電産などの電子部品、カプコンスクウェア・エニックス・ホールディングスなどの伝統的ゲーム会社、エイベックス・グループ・ホールディングスアミューズオリエンタルランドなどの音楽、テーマパーク会社が買われました。一方で、ガンホー・オンライン・エンターテイメントは変わらず、コロプラは下落しました。また、三菱地所三井不動産などの不動産株が安くなりました。バイオ関連はまちまちでした。

為替レートは、17日の1ドル=94円台、1ユーロ=125円台から、22日は一時1ドル=98円、1ユーロ=129円まで戻しました。21日16時現在では、1ドル=97円台後半、1ユーロ=129円台前半となっています。円高傾向が一服して円安傾向になっており、上述のように21日前場段階で安かった自動車、電機などの輸出・グローバル関連が、後場になって買われました。

QE3縮小開始でドル高、円安トレンドか:QE3縮小開始によって、新興国に投資されてきたアメリカのお金がアメリカに還流することを懸念する動きに日本も巻き込まれています。

相場全体を見ると、このまま75日移動平均線を下回る状態が続くと、6月24日の週にも25日移動平均線が75日移動平均線を上から下に突き抜ける「デッドクロス」が示現することになります。21日の日経平均株価は13,345円にある75日移動平均線の手前で止まりました。ここから下の抵抗ラインは、先々週と先週に本稿で指摘したように12,000~12,700円にあります。またその下になると、200日移動平均線が11,100円台にあります。日経平均の腰は強いと思われますが、警戒が怠れない状況であるとも思われます。出来高が減少していることも気になります。

ただし、多くの日本企業のファンダメンタルズ、特に円高に耐えて収益力を向上させてきた自動車セクター中心に、輸出グローバル関連セクターのファンダメンタルズの健全性には変わりはありません。QE3縮小は基本的にドル高円安要因であり、特に自動車、電機、機械の各セクターの業績を支援すると考えてよいと思われます。また、QE3縮小開始のそもそもの理由はアメリカの景気回復が順調だからです。このことは常に念頭においておきたいと思います。

グラフ7、8を見るとわかるように、輸出・グローバル関連の株価は、内需・金融緩和関連の株価に比べ、為替レートのトレンドにしたがって規則正しい動きをしています。為替レートの円高傾向に歯止めがかかったとすれば、自動車、電機、機械などの各セクターの主力株の株価は、投資妙味がでてくる可能性もあると思われます。具体的には、自動車セクターでは、トヨタ自動車本田技研工業富士重工業マツダ日野自動車いすゞ自動車デンソー豊田通商など、電機では、ソニーパナソニック村田製作所など、機械では、小松製作所日揮千代田化工建設などです。

相場全体では、腰が強いながらも、なお警戒を要する展開が続きそうですが、そろそろ個々のセクター、銘柄のファンダメンタルズを精査して選別投資する時期に入ってもよいのではないかと思われます。

 

表1:楽天証券投資WEEKLY

グラフ1 日経平均株価:日足


グラフ2 日経平均株価:月足

グラフ3 信用取引評価損益率と日経平均株価


グラフ4 円/ドルレート:日足

グラフ5 円/ユーロレート:日足


マーケットスケジュール

2013年6月24日の週の日本での注目点は、28日の5月の鉱工業生産指数(速報)、5月の全国消費者物価指数です。

アメリカは、25日の5月のアメリカ耐久財受注、5月の新築住宅販売件数、4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、26日の1-3月期GDP確定値です。

日本の全国消費者物価指数とアメリカの耐久財受注、1-3月期GDP確定値に注目したいと思います。

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