GDPのマイナス成長は一時的にとどまるのか?
今週の国内株市場ですが、日経平均は米国株市場の下落に伴って22,000円台を大きく下回る場面を見せるなど、軟調な動きの方が目立っています。先週までは10月の急落時の下げ幅からの戻りを試すような動きとなっていましたが、今週はこうした動きはひとまず小休止した印象です。
そんな中、14日(水)に7-9月期の国内GDP速報値が発表されましたが、前期比年率でマイナス1.2%(実質)という結果でした。2四半期ぶりのマイナス成長と示したわけですが、7-9月期は地震や大雨、台風など、自然災害が相次いだこともあり、生産や消費などに悪影響があった時期でもあるため、マイナス成長自体は想定通りではありました。
細かい数字を見ていくと、マイナス成長の主な要因は個人消費と輸出の落ち込みです。具体的には個人消費はマイナス0.1%で、輸出はマイナス1.8%だったのですが、内需・外需ともに冴えなかったことになります。ちなみに、今回のGDPに影響があったと思われるインバウンド消費は輸出に分類されます。
もっとも、次の10-12月期にはプラス成長に回復するという見方は多く、実際に、国内株市場の初期反応も限定的で、大きく株価を下げるという動きにはなりませんでした。
とはいえ、外需については引き続き米中摩擦の影響が懸念されているほか、内需についても回復見込みではあるものの、個人消費の動向を長期的に眺めてみると、2014年の消費増税で大きく落ち込んでからの回復は鈍く、ようやく増税前の水準まで来たという状況です。
来年はさらに税率の引き上げが予定されていることもあり、次回の発表でプラスに回復したとしても、株価材料的にはあまりポジティブではありません。政府は悪影響を緩和すべく、良くも悪くも様々な景気対策が議論されていますが、こちらも現時点での期待値は高くはありません。さらに、今回のGDP発表前に、「日銀が内閣府に対して、統計元データの提供を求めている」との報道があり、統計そのものの信頼性も今後の議論の対象になると思われます。
一方、中国でも同じ14日(水)に10月の各種経済指標が公表され、中でも小売売上高が前年比でプラス8.1%と、予想(プラス9.1%)に届かなかったことが注目されました。
中国経済は米中摩擦の影響が懸念される一方で、内需については好調を維持しているという見方が大勢を占めていただけに、ネガティブな材料と言えます。すでに中国は減税やインフラ投資などの内需刺激型の景気対策を講じていますが、今後さらに拡大する可能性もあり、どこまで中国の景気減速を抑えられるかが注目されることになりそうです。
日本で今後予定されている増税と緩和対策は、「マイナスとプラスでゼロ」という発想ではありますが、これまで消費増税後に景気が後退してきた過去を踏まえれば、マイナスが優勢になることは避けられないと思われるほか、それをカバーする外需についても不透明感が拭えない状況が続いてしまう可能性があり、今回のGDPのマイナス成長は一時的と楽観視できない面が隠れているのかもしれません。
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