地政学的リスク台頭の株価下落は押し目買いの好機なのか?
今週の国内株式市場ですが、国内企業決算を睨みつつ、日経平均株価は2万円を挟んだもみ合いが続くと想定されていたものの、米メディアによる「北朝鮮が核弾頭の小型化に成功した」と報じられたのをきっかけにした地政学的な警戒感が台頭し、9日(水)の国内株市場は大きく下落しました。
この日の日経平均株価は前日比で257円安となりましたが、この下落幅は偶然にも、先月に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射実験に成功したと発表したのを受けて、日経平均株価が下げた7月4日の下落幅と同じです。
当時も地政学的リスクへの警戒が高まったものの、落ち着きを取り戻すのにさほど時間がかからず、相場が大きく崩れることはありませんでした。この例に従えば、具体的な軍事行動の気配が生じない限り、今回も同様相場展開になるという見方が多いのかもしれません。
もっとも、日経平均株価は2カ月以上も節目の2万円を挟んだ保ち合いが続き、膠着感が強まる中で、今回の北朝鮮動向が売りの口実された可能性があることや、週末はオプション取引・mini先物取引のSQが控えているため、少なくとも値動きが落ち着くのは来週以降になると思われます。
テクニカル分析面では、7月の下落局面において、日経平均株価は25日移動平均線がサポートとして機能し、以降もこの25日移動平均線を挟んだもみ合いが続く格好となりましたが、今回はすでに株価が25日移動平均線を下回っている状況で下落し、3カ月の値動きの中心線である75日移動平均線をも下回って取引を終えています。さらに、7月の下落以降の保ち合いを見ても、次第に日経平均株価が上値を切り下げており、下方向への意識が強まっています。早期に株価の下落が落ち着いても、戻りの勢いが限定的にとどまってしまうシナリオも濃厚ですので、今回の下落が押し目の好機になるかは微妙なところです。
ポイントになるのは、同じ主力株価指数であるTOPIXの動きです。こちらも9日(水)の取引で25日移動平均線を下抜けてしまいました。TOPIXは直近までこの25日移動平均線をサポートに年初来高値を更新してきたこともあり、早期に25日移動平均線に復帰できれば安心感が広がりそうです。
もっとも、北朝鮮の核ミサイル開発はステップアップを続けていますし、北朝鮮の挑発行動とそれに対する米国の反応もチキンレースのような様相になっています。着実に状況は悪化しつつあると考えるなら、今回の下落が落ち着いたとしても、引き続きリスク要因として燻り続けることになります。
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