株式市場の持ち直しとリスク要因の火種

2026/02/20

今週の株式市場ですが、日経平均とTOPIXがともに、売り先行後に持ち直す展開を見せています。

今週18日(水)に特別国会が召集され、第2次高市政権が発足したことによる期待感や、「アンソロピック・ショック」や「SaaSの死」などのAI脅威への警戒に揺れる米国株市場、そして、今年に入ってからの急ピッチな株価上昇による過熱感が入り混じる中で落ち着かない値動きではあるものの、国内景気の堅調さも加わって、株価水準自体は高値圏を保っている状況です。

そんな中、今週の17日(火)に米金融機関のバンク・オブ・アメリカ(BofA)が2月の月次機関投資家調査を発表しました。これは、2月6日(金)〜12日(木)の期間に、160を超える機関投資家(年金基金、ヘッジファンド、投資信託の運用者など)からのアンケートをもとに、マクロ経済の見通し(アウトルック)や資産配分、市場のリスクなどを集計したもので、影響力の大きい機関投資家が市場をどう見ているのかを探るヒントとして注目されています。

足元の米国株市場も、売り優勢からの落ち着きを取り戻しつつありますが、現時点で機関投資家が「どんなリスクを意識しているか?」を知ることは、今後の相場シナリオを構築する上でも参考になります。

では、実際にどんなリスクが意識されているかを調査結果で回答率が高かった順に見ていくと、「AI株のバブル」が最も高く、「インフレ」、「無秩序な金利上昇」、「地政学的な紛争」、「PC(プライベートクレジット)」、「米ドルの価値低下」などが続き、最近の為替市場や債券市場、米国とイラン情勢の報道などを踏まえると、順当な結果だったと言えます。

そのため、当面のあいだは、昨年までのAI・半導体相場の変調を強く意識する相場展開が見込まれそうです。AI・半導体相場が「バブルか否か」は別として、1月下旬にアンソロピック社が新しいAIエージェントツールを発表してから広がったソフト関連株の下落が、足元では、金融や資産管理、不動産など、業種を超えてAI技術の進歩がもたらす脅威が拡大している状況を冷静に見極めていく必要があります。

もちろん、キャタピラーやウォルマートなど、既存のビジネスにAIを組み入れて成長期待が高まり、株価が上昇している例もあり、ここからは業種を超えて「勝ち組」と「負け組」を選別していく展開が想定され、まずは、日本時間の来週26日(木)の朝(米国では25日(水)の株式取引終了後)に公表される米エヌビディアの決算が注目されることになります。

また、銘柄物色が「勝ち組」と「負け組」に分かれる構図は、相場全体として上昇しにくくなるほか、AIを軸にした銘柄選別だけでなく、実は、米国の消費も高所得者層が牽引する一方で、中低所得者層が消費を控える「K字型」となっていて、分断が進んでいます。これまでの株高による資産効果が高所得者層の消費意欲を支えている面がありますが、今後の米雇用環境が悪化したり、景気減速が目立ち始めると、さらなる株価下落や消費減退、そして景気悪化とそれに伴う投資意欲の低下といった具合に、思ったよりも早いピッチで「負のサイクル」が進む可能性があります。

そのため、結局は基本中のキである、「景気悪化」が足元の株式市場の最大のリスクとなり、今後の米経済指標の注目度が高まることになりそうです。

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