揺らぐAI相場とマイナスに沈んだ国内GDPの影響
今週の株式市場ですが、18日(火)の取引で日経平均が前日比で1,600円を超える下落を見せるなど、これまでのところ売りに押される場面が目立っています。注目の米エヌビディア決算を受けた20日(木)の取引では急反発を見せてはいますが、これまで相場を牽引してきたAI・半導体銘柄によるAI相場が揺らいでいる状況に変わりはなく、銘柄の選別や買い戻しから買い上がって行けるかについては、まだ不透明です。
そんな中、週初の17日(月)に7-9月期のGDPが公表されました。その結果は実質ベースで6四半期ぶりのマイナス成長となり、ヘッドラインだけで判断すると国内景気に対する不安材料も相場のマイナス材料になりそうですが、詳細に中身を見て行くと、「国内景気が腰折れした」と判断するのは早計かもしれません。
今回のGDPにおいてマイナスに寄与した主犯格は「住宅投資」で、前期比で9.4%減となっています。ただし、住宅が急激に売れなくなったわけではなく、今年4月の建築物省エネ法改正などに伴って、3月までに駆け込み需要が発生し、その反動減が(工事の進捗ベースで計上されるため)今回の結果に現れたことが理由のため、一時的かつテクニカルな要因になります。
その一方で、内需の柱である「個人消費(+0.1%)」と「設備投資(+1.0%)」がそれぞれ前期比でプラスを維持しており、物価高が続く中でも、賃上げ効果によって消費は底堅さを保っていることはポジティブな材料です。つまり、日本経済のファンダメンタルズは、ヘッドラインのマイナス数字ほど悪くはなく、「意外としっかりしている」と判断できます。
国内経済の見通しが悪くないのであれば、仮に足元のAI相場が調整を深めた際に、相場全体を支えることができるかが気になるところです。ここで忘れてはならないのが、国内政治の変数、すなわち、高市政権の経済政策への期待と不安です。
今回のGDPで「設備投資」が堅調だったことは、高市政権が掲げる「危機管理投資」や「成長投資」といった積極的な財政出動の方向性と合致しています。高市政権からは重要な投資対象として、17分野が掲げられており、今後に策定される補正予算の規模や内容次第では、相場を支えることになりそうですが、どの分野にどのくらいの規模の予算がつくかはまだ分かりません。
そのため、現時点では期待よりも不安の方が先行している印象です。具体的には、積極財政による国債増発懸念から、国内長期金利が上昇し、円安も加速する動きが目立っています。「財政と金融のバランス」に対する懸念が、買いを躊躇させている側面がありそうです。
さらに、日中関係の悪化を懸念する動きも日本株を押し下げており、その動向が市場のムードに影響を与えることになりそうですし、AI相場の調整が深くなれば、株価がもう一段階下落していくことも考えられます。
とはいえ、基本的には今回のGDPのマイナス成長が一時的であり、次回(10-12月期)にプラスに復帰できる見方が大勢であることをはじめ、高市政権の経済政策に対する不安から期待へと導くことができるのであれば、足元の下落局面は優良銘柄を比較的割安に拾う好機になるかもしれません。
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