来週の金融市場見通し(2025年11月10日~2025年11月14日)
■来週の見通し
米調査会社が発表した10月の非農業部門の雇用者数が5か月ぶりにマイナスとなるなど、米労働市場に不透明感が広がっています。政府機関の一部閉鎖で公的なデータが得られない中、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が広がりにくくなっています。他方、日本維新の会の藤田共同代表はインタビューで、日銀が利上げを急げば経済成長を妨げかねず、適切な時期に利上げを行うよう促しました。来週は決算発表に加え、日銀、FRB高官の発言なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :不安定な動きか
今週の日本株は、軟調な動きとなりました。人工知能(AI)需要の拡大により業績が改善するとの期待から上昇していたソフトバンクグループやアドバンテストの株価が大きく下落したことが指数を押し下げました。これらの銘柄の株価は急ピッチで上昇していたことから、高値警戒感から利益確定売りが広がったとみられます。
来週は、不安定な動きが予想されます。AI関連株への高値警戒感が強まっており、日経平均株価は構成割合が高いこれらの銘柄の変動に、左右されることが予想されます。とくに、11日に予定されているソフトバンクグループの決算発表後は、荒い値動きとなる可能性があります。決算が良好な内容になれば、株価は反発することが予想される一方、期待外れな内容になれば、一段と調整する可能性があります。
◆長期金利 :居所を探る
今週の長期金利は、若干ながら上昇しました。米国の複数の地区連銀総裁が物価の高止まりを背景に利下げに慎重な姿勢を示していることから、米金利とともに国内金利も上昇して始まりました。週央には株安を受けて長期金利は一旦低下しましたが、その後は10年国債入札が低調な結果だったことや、米金利の先高観が強まったことなどから、上昇する動きになりました。
来週は、日米の金融政策をめぐる思わくに振らされながら、居所を探る展開を予想します。FRBによる早期利下げ観測がやや後退していますが、日銀の中川審議委員が講演で利上げに慎重な姿勢を示すと、国内金利の上昇が抑制される可能性があります。とはいえ、円安を受けて利上げ圧力が強まる可能性もありそうです。30年国債、5年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :底堅い展開か
今週のJリート市場は、米ハイテク株の下落をきっかけに株式市場が大幅下落するなど不安定な市場環境の中、底堅く推移しました。東証REIT指数(配当なし)2,000ポイント付近で戻り売りが出たものの、下値を拾う買いなどが支えとなりました。今週末の分配金利回りは4.571%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、日米の株式市場や長期金利の動向をにらみつつ、底堅い展開を想定しています。引き続き節目となる東証REIT指数(配当なし)2,000ポイント付近では一定の戻り売りが出ることが見込まれるものの、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:上値の重い展開
今週のドル円相場はドル安・円高が進行しました。週前半は、片山財務大臣による円安をけん制する発言や、株価の大幅な下落によるリスク回避の動きから、円買いが優勢となりました。週末にかけても、米国の民間企業が公表した10月の人員削減数が同月としては2003年以来の高水準となったことを背景に、1ドル=153円前後まで、ドル安・円高が進行しました。
来週のドル円相場は上値の重い展開が予想されます。一段と円安が進行すると、政府による為替介入の警戒感が強まるため、円安の進行余地は限られるとみられます。また、過去最長となる米国の政府閉鎖が続いていますが、再開の目途が立つと、ドルを買い戻す動きが広がる可能性があります。
◆米国株 :不安定な動きか
今週の米国株は、軟調な動きとなりました。人工知能(AI)需要の拡大により業績が改善するとの期待から上昇していたエヌビディアなどの半導体関連株が下落し、投資家心理が悪化したことが、株価を下押ししました。また、米労働市場の悪化を示唆する経済指標の発表も、嫌気されました。
来週は、不安定な動きが予想されます。半導体関連企業などのAI関連株への高値警戒感が強まっており、これらの株価の変動に、指数も左右されることが予想されます。また、米政府機関の閉鎖が終了するかも注目点です。仮に、政府閉鎖が終了した場合、市場はいったん好感する可能性があります。他方、公表が延期されていた経済指標の発表が再開すると、その内容を受けて、株価の変動が大きくなる展開も想定されます。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(10月) 11月11日(火)発表
景気ウォッチャー調査によると、9月の現状判断DI(ディフュージョン・インデックス)は、前月差+0.4ポイントと5か月連続で上昇しました。インバウンド需要の回復を背景に小売関連の指数が持ち直したほか、住宅関連の指数が大きく上昇しました。
10月の現状判断DIは改善が続く見込みです。所得・雇用環境の緩やかな改善が続いているほか、株価の上昇による資産効果が景況感を押し上げる可能性があります。
中国小売売上高、工業生産、固定資産投資(10月) 11月14日(金)発表
9月の中国の小売売上高は、前年比+3.0%と前月から伸びが縮小し、2024年11月以来の低い伸びとなりました。消費財買い替え推進政策による効果がはく落しました。
10月の小売売上高は低い伸びが続くと予想されます。不動産市況の低迷や若年層を中心とする雇用環境の悪化を背景に、個人消費は力強さを欠く状況が続く見込みです。
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