「強気と弱気の攻防戦の行方」
今週の国内株市場ですが、17日(水)の日経平均終値は37,961円でした。3日続落だったほか、約2カ月ぶりに38,000円台の節目を下回るなど、これまでのところ軟調な展開が目立っています。
さらに細かい値動きを辿っていくと、週初15日(月)の取引では、前週末(39,523円)比で290円安となったものの、一時は700円安だったところから買い戻されて高値引けで終えたように、この日は「下がったところで買われる」動きも見られました。
続く16日(火)は、ローソク足チャートのいわゆる「窓」を空ける格好で一段安でスタートし、その後は安値圏でのもみ合いが続いて前日比で761円安となりました。そして、17日(水)は買いが先行して上昇しながらも下落に転じ、さらに引けにかけて下げ幅を広げて509円安で終えるなど、「強気派と弱気の攻防戦」は徐々に弱気が優勢になりつつあるような印象です。
また、こうした日経平均の動きをテクニカル分析的に見て行くと、17日(水)時点で、株価が50日移動平均線を下抜け、75日移動平均線近くまで下落しています。
一般的に、50日移動平均線は国内株のチャートであまり使われることはなく、米国株など海外のチャートでよく使われます。最近の日経平均は、海外の短期筋による先物取引の売買の影響を受けることが多くなっていることを踏まえると、50日移動平均線は短期的な投資主体が強く意識していると思われ、今週に入って株価がこの線を下抜けたということは、短期的には弱気へ傾いた可能性があります。
その一方で、75日移動平均線は約3カ月間の値動きの中心線です。17日(水)時点の株価がこの75日移動平均線に近づいているということは、中長期の投資家がこの水準で買いを入れて、サポート(支持)の線として機能できるかが試される局面に差し掛かっていると考えられます。
こうした足元の株価の下落の背景として、「経済指標とインフレ動向による米金融政策の利下げ開始時期の後ずれ警戒」、「地政学的リスク(イスラエルとイランの衝突)の高まり」、「相場を支えてきた企業業績も一部で揺らぎが見え始めた」ことなどが挙げられます。とりわけ、米10年債利回りが再び4.6%台まで上昇したことや、オランダの半導体製造装置大手のASMLが今週発表した決算で、売上高、受注高、売上高の見通しが揃って市場予想に届かなかったことなどが、ネガティブに働いています。
もっとも、地政学的リスクの不透明感が払拭されれば、本格化しつつある企業決算を手掛かりに株価は再び反発していくと考えられ、「足元の株価下落は絶好の買い場」という見方も根強くあります。
ただし、原油価格(WTI先物)の推移を見ると、17日(水)の価格は1バレル=85ドルあたりで推移していますが、昨年10月にイスラエルと、パレスチナの武装組織ハマスとの戦闘が激化した時は90ドル台まで上昇していたため、実は、現時点ではまだ積極的にリスクを織り込んでいる段階ではない可能性があります。そのため、相場の感応度とすれば、引き続き米国の金利動向と景況感の方が強いと思われ、株価反発の勢いが出にくく、しばらくは切り下がりつつある「押し目」の水準を探る展開が中心になるかもしれません。
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