「半導体・AI相場」は第2ラウンドに入ったのか?

2024/03/08

本格的に3月相場入りとなった今週の株式市場ですが、日経平均は週初の4日(月)に初の4万円台に乗せ、翌5日(火)以降は売りに押される場面がありながらも、週末の8日(金)には、先物およびオプション取引の清算日(メジャーSQ)を控え、この節目の株価水準を維持するような動きが続いています。

昨年11月から始まった足元の株価上昇局面は目立った調整がなかったこともあり、需給の思惑がいったん落ち着くSQ以降の来週の値動きが売りへと転じてしまう展開には注意したいところですが、少なくとも足元の国内株式市場は、内需関連を中心とする主力バリュー株へ買いが向かったことと、半導体・AI関連銘柄に対する物色の広がりによって支えられている印象です。

前者については、週末の2月雇用統計をはじめ、来週の2月CPI(消費者物価指数)や2月小売売上高、そして再来週のFOMCなど、今後の米国市場では注目のイベントが目白押しとなる中、内容や動向次第では株価の振れ幅が大きくなる懸念があり、相対的に影響が少ないとみられる内需株に徐々に資金が向かっているものと思われます。

また、後者については、日米ともに、エヌビディア株以外の銘柄でも上昇しているものが増えてきています。特に、国内の関連銘柄は先端半導体の製造に欠かせない技術を持つ日本企業は多く、チップ検査器具を手掛ける日本マイクロニクス(6871)をはじめ、フォトレジストの東京応化工業(4186)、洗浄工程で使用する超純水製造装置の野村マイクロ・サイエンス(6254)、樹脂封止装置のTOWA(6315)や、ウエハー搬送装置のローツェ(6323)などはその代表例です。

こうした流れが今後も続き、半導体相場の「第2ラウンド」となれば、日本株のさらなる上値追いのエネルギーになっていくと思われます。それと同時に、エヌビディア株が軟調となった場合には、これらの銘柄が連れ安してしまうのか、それとも値を保つのかが焦点になってきます。

とはいえ、中長期的には関連銘柄の広がりが拡大しすぎてしまう状況になってしまうと注意が必要になってきます。生成AIがもたらすイノベーションの将来性が現時点でかなり高いことが拡大の背景にありますが、かつての「ITバブル」や「ドット・コムバブル」の2000年前後の時期のように、将来性への期待で多くの銘柄が買われたものの、現在も生き残っているのは一部の銘柄で、多くは株価が低迷しているか、姿を消してしまっているという経緯があることは意識しておいた方が良いかもしれません。

確かに、エヌビディアは期待に見合った業績を示しており、勝ち組となっていますが、生成AIの発展に欠かさない半導体を供給している「裏方」の企業です。生成AIを活用して大きく飛躍できる企業はこれから出てくることになります。つまり、今のところ、半導体関連銘柄はエヌビディア次第、AI関連銘柄は、まだ一部にとどまっているビジネスモデルの成長次第の面があるため、足元の半導体・AI関連銘柄に対する物色については、銘柄を選別する視点を持って臨む局面が思ったよりも早くやって来るのかもしれません。

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