足元の米国株が上がりにくい理由
9月最終週となる今週の株式市場ですが、日本株は売られる場面が多いものの、全体としては堅調さを保っていると言えます。
とりわけ、27日(水)の取引では、日経平均が前日比で300円を超える下落の場面から切り返してプラスに転じて高値引けで終えており、下値を拾う動きの強さが感じられます。実際に、チャートを眺めると、6月からの日経平均は32,000円台を下回ったところで買いが入って反発する傾向が続いています。
その一方で、足元の米国株市場については、テクニカル分析的にかなり注意が必要な局面に位置しています。主要な米株価指数の状況を日足チャートで確認すると、S&P500とNASDAQが相場の天井パターンとされる「トリプル・トップ」を完成しつつあることや、NYダウについても、今週の取引で200日移動平均線を下回る場面が見られたことや、34,000ドルの節目も絡んだ「逆カップ・ウィズ・ハンドル(Cup with handle)も形成しているなど、さらなる株価の下振れが警戒されるサインが出現しています。
こうした米国株市場の下落の要因としては、米自動車業界のストライキの動向や、つなぎ予算をめぐる米議会の対立などの不安要素などのほか、米長期金利の上昇傾向が続いていることが挙げられます。
注目イベントだった米FOMC(連邦公開市場委員会)が先週に開催され、市場が予想した通り政策金利の据え置きが決定されましたが、同時に公表された「ドット・チャート」では、年内にあと1回の利上げと、来年に想定されていた利下げの回数が4回から2回に減少する見通しだったことから、米金利の高止まりが長期化するのではという見方が強まりました。
さらに、もう少し踏み込んで行くと、直近の米10年債利回りは、昨年10月の4.2%水準を上回り、4.5%台に乗せてきましたが、先週末時点のS&P500とNASDAQの株式益回りはそれぞれ、5.04%と3.74%となっており、単純な比較では、S&P500の株式益回りと米10年債利回りの差がかなり縮小しているだけでなく、NASDAQに至っては米10年債利回りの方が上回っています。
一般的には、リスク資産である株式の方が安全資産である債券を上回るのが普通ですが、足元では債券の方が優位であるために株式市場が上昇しにくくなっています。そのため、10月半ばから本格化する企業決算シーズンで、企業がしっかりと利益を伸ばすことができるかどうかが注目されます。
また、これまでの金融引き締めによる米景気への影響に対する懸念も根強く燻っています。
過去の米金融政策が利下げに転じるタイミングを見ると、経済データの傾向などから予定調和的に実施されることは少なく、思ったよりも景気が悪化してしまったり、金融不安などの突発的な事態発生などがきっかけになることが多いため、現在の株式市場が前提としている、「米景気のソフトランディングによるスムーズな利下げ転換」というシナリオは、経験則からは意外と実現が難しいかもしれないことは意識しておいた方が良いかもしれません。
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