中国景気は持ち直すことができるか?
今週の株市場ですが、これまでのところ、日米の注目企業の決算に反応する動きや、日・米・欧の金融政策イベントをにらみ、方向感に欠ける展開が続いています。
日本株の状況をテクニカル分析的に捉えると、26日(水)の取引終了時点において、25日移動平均線が、日経平均では上値の抵抗となる一方、TOPIXについては下値のサポートとなっており、株価指数のあいだで強弱感が交錯している印象です。そのため、そろそろ相場に方向感が出てくる可能性があります。
そんな中、25日(火)の上海総合指数や、香港ハンセン指数などの中国株市場が上昇する場面がありましたが、その背景にあるのが中国の経済政策期待です。
中国では、24日(月)に中国共産党中央政治局会議が開催され、マクロ経済政策の調整強化や、内需拡大などに注力する方針が示されました。
そのポイントとして挙げられるのは、中国当局が、「国内の経済状況が困難な状況にあることを認め、経済の立て直しには紆余曲折が予想される」との認識を示したことです。これにより、新たな経済政策が今後打ち出されるのではないかという期待につながったと思われます。
具体的には、①不動産政策を状況に合わせて調整、②地方政府の債務削減の包括的な方策を定める、③民間企業の事業環境を改善してプラットフォーム経済を発展させる、④AI(人工知能)技術などの向上、⑤国内消費を促進、⑥貿易と外国からの投資を安定させる、などが挙げられます。
確かに、景気見通しについて、今年のはじめは、「中国はゼロコロナ解除で復活、米国は金融引き締めで景気減速」だったのが、現在では正反対となっていますし、先週発表されたGDPをはじめとする経済指標が冴えなかったことや、約1年半の時を経て公表された不動産大手企業の中国恒大集団の決算で、同社が実質債務超過に陥っていたことが判明するなど、中国経済の現状はかなり厳しいものがあると考えられます。
だからこそ、今後の中国の経済政策の実効性が試されることになります。先ほどの①~⑥のうち、⑥に踏み込む動きが強まることは、米国をはじめとする対外関係の改善につながる面があり、とりわけ注目されそうです。このところ、経済安全保障上の理由で中国との距離を置き、供給網の再構築を図る外国企業が増えていることに対する焦りの裏返しもあり、中国当局は最近になって、外国企業向けに、反スパイ法や、半導体材料の輸出規制について説明会を開催しています。
とはいえ、過去に中国に進出した外国企業は、当初は好条件で誘致・進出したものの、次第に当局の規制や要求が厳しくなり、ビジネス環境が悪化していく経験をしてきたこともあり、順調に外資導入を進められるかは、中国がいかに信頼を回復し、「ソフトパワー」を構築できるかがカギになります。
このほか、①と②についても、先ほどの中国恒大集団のように、実質的に破綻状態にある企業を延命するだけの単なる時間稼ぎにとどまってしまう可能性があります。そのため、しばらくは政策期待が相場を支えることが考えられますが、中長期的に中国経済が持ち直すことができるのかを判断するのは、現時点でまだ微妙であると考えた方が良いかもしれません。
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