徐々に狭まる株高への包囲網
今週の株式市場ですが、日経平均は25日(火)の取引時間中に年初来高値を更新する場面を見せたかと思いきや、翌26日(水)には、いわゆる「窓」空けで下落し、28,500円台を下回って取引を終えるなど、やや不安定な値動きが目立っています。また、ローソク足の並びも、週初の24日(月)から26日(水)にかけて陰線が続いており、売りが優勢となる場面が増えつつあります。
その一方で、足元の日本株は米国株市場と比べて値を保っており、下値では買いが入りやすい印象でもあります。
バフェット氏の日本株再投資発言をはじめ、東証による低PBR企業への改善の働きかけ、半導体の国産化を支援する政府の方針、国内大型連休を見据えたインバウンド期待や、海外から出遅れ気味の経済再開(リオープン)の回復余地など、日本株を支える材料の存在が日本株の堅調さの要因として挙げられます。
もっとも、これらの材料が揃って機能して相場全体で上値をトライするというよりは、ローテーションのように、交互に物色されて資金が循環する格好となり、買われるものと売られるものが混在する中で、結果的に堅調に推移しているようにも見えます。
確かに、日本株の追い風となっている材料は、相場を支えることができても上値をトライするにはやや燃料不足かもしれません。バフェット氏が日本株を追加購入するタイミングは今ではなく、もっと株価水準が安くなったところと思われるほか、低PBRの改善についても、自社株買いなどでお茶を濁すのではなく、「稼ぐ力」をしっかり強化していかないと、割安感が修正されたところで株価の上昇が止まってしまいます。
さらに、国内企業の決算も、足元で本格化している決算シーズンの中、好業績や良好な見通しを示した銘柄が物色される動きなども散見されますが、冴えないものについては素直に下落で反応しており、一喜一憂の状況です。
インバウンドについても、水際対策が緩和されたことによる中国人観光客への期待感が高まっていますが、肝心の中国景気の先行きが怪しくなりつつあることや、米中や日中関係の政治的悪化なども懸念されているため、思ったよりも改善しないかもしれません。米国では、ファースト・リパブリック銀行の決算を機に、ひとまず落ち着いたと思われていた金融不安の再燃が警戒され、景気後退への不安が強まっています。
そのため、日本株をめぐる相場環境は、著しく悪化はしていないものの、海外要因も含めて、徐々に株高に対しての包囲網が狭まりつつあるのかもしれません。まだしばらくは株価が上昇する場面も多そうですが、引き続き、「いつ梯子を外されてもおかしくはない」状況であることを意識しつつ、相場に臨む必要がありそうです。
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