楽観期待と現実の見極めで揺らぐ相場のムード
今週の国内株市場ですが、日経平均は週初の6日(月)に「窓」空けで上昇し、一段高でスタートしたものの、その後はこの日を含めて8日(水)までのローソク足が陰線で並び、上昇に勢いが出ていません。
ただその一方で、株価水準自体はまだ節目の28,000円台を射程圏内に捉える位置を維持し、下値を試す動きが目立っているわけでもなく、全体として方向感に欠けている印象です。
このように、足元の相場は強弱の材料に反応して荒っぽい値動きとなる場面が増えています。
実際に、先週もIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しで、2023年の世界のGDP成長率が上方修正されたことや、米FOMC(連邦公開市場委員会)でも、会合後の記者会見でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がこれまでのタカ派姿勢をやや後退させたことなどが前向きな材料として受け止められましたが、反対に、1月分の経済指標(雇用統計とISM非製造業景況感指数など)の数字が強めの結果となるなど、景況感の強さが金融政策の引き締め警戒につながって株式市場の楽観ムードに水を差す格好となりました。
さらに、今週6日(月)の株価上昇は、4月で任期満了となる黒田日銀総裁の後任人事について、雨宮副総裁に就任を打診したことが報じられ、「金融緩和が維持される、もしくは正常化のペースが加速しない」との観測で、為替市場が円安傾向となったことが日本株の支援材料となりましたが、長い目で見れば「誰が就任しようと金融政策の修正は避けて通れない」ため、株高材料としての賞味期限が短くなる可能性があります。
昨年末あたりから直近までの国内外の株式市場を振り返ると、米金融政策の引き締めペース鈍化をはじめ、世界景気後退のソフトランディングや、中国経済のリオープンなどの期待感が背景にある中で株価の戻り基調を描いてきましたが、インフレと景況感の「鈍化のスピード感」の綱引きという中長期的な相場の視点は基本的に変わっていません。
次回のFOMC(3月21~22日)まではまだ時間があるため、しばらくのあいだは、経済指標の結果や、それを受けた景況感と金融政策への思惑に敏感に反応しやすい相場地合いが続くことになりそうです。さらに、偵察気球をめぐる騒動で、ブリンケン米国務長官の訪中が延期されるなど、米中関係の悪化といった懸念が浮上したり、米国の債務上限問題などの問題が燻っているのも気掛かりです。
そのため、「株式市場の楽観見通しに現実が追いつけるか」が焦点になる中、その時々のムードで株価が短期的に大きく動く展開がしばらく続くかもしれません。
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