中国恒大集団のデフォルト懸念の影響は?
今週の国内株市場ですが、これまでのところ、戻りをうかがう展開が目立っており、8日(水)の取引終了時点の日経平均は29,000円台の手前に位置する株価水準となっています。新型コロナウイルスの変異型である「オミクロン株」に揺さぶられた株式市場ですが、ひとまず落ち着きを取り戻しつつある印象です。
また、テクニカル分析的にも、直近でつけた日経平均の下値は、年初来安値を付けた8月20日を起点とする下値ラインと、年初来高値をつけた9月14日を起点とする上値ラインとのあいだで形成される「三角保ち合い」の下限や、それまでの年初来高値だった2月16日を起点とする上値ラインあたりで下げ渋っており、下値の目安とされる地点でしっかり下げ止まったと言えます。その一方で、下抜けてしまった主要な移動平均線(25日・75日・200日)などの上値の目安で上昇が止まってしまうという展開もあります。
オミクロン株については、感染力は強いが重症化リスクは低いという見方が多いことや、各国の対応力の向上、製薬会社によるワクチン接種の有効性についての表明などによって、株価の売り材料としてのインパクトが後退してはいますが、感染が拡大している状況に変わりはないため、まだまだ油断できないですし、来週14日~15日に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)後の市場の反応も注目されます。
そんな中、中国の不動産大手企業、恒大集団の利払い(11月に支払われなかった8,249万ドルに対する30日間の猶予期限)がなされず、デフォルトする可能性が高まってきました。
とはいえ、株式市場の反応に目立ったものはありませんでした。「いずれ来るべきものが来た」ということで驚きがなかったことや、その影響については、不安を先取りするのではなく、冷静に次の展開を見極めようとしている状況と考えられます。
確かに、中国恒大集団のデフォルト自体が国内外の金融市場に与える影響は限定的という見方が現時点では多いようですが、中国経済における不動産と周辺業界の寄与度は大きいものがあるほか、これまでの中国経済の成長モデルが成り立たなくなるため、中国経済の減速懸念は着実に高まることになります。
もちろん、中国当局は、すでにこうした従来の成長モデルに限界を感じ、「中国製造2025」といった政策にもあるように、次の経済成長の柱となる産業の育成に着手しています。ただ、想定以上の不動産業界の落ち込みや、人権やイデオロギーなど、民主主義諸国との軋轢などの影響も懸念されます。すでに、北京五輪をめぐる外交的ボイコットや、米国株式市場に上場している中国企業の上場廃止が相次ぐ懸念など、具現化している事象もあり、中国リスクが中長期にわたって意識される展開には注意しておく必要がありそうです。
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