慌てずとも「次の買い場」はやって来る?
本格的な10月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は週初4日(月)に反発スタートとなるもすぐに失速し、75日と200日移動平均線を下抜けてしまい、翌5日(火)には節目の28,000円台を割り込むなど弱含みの展開となっています。
さすがに7日(木)の取引は再び反発していますが、最近の日経平均を振り返ると、8月20日の年初来安値(26,954円)から9月14日の年初来高値(30,795円)まで、わずか18日営業日で3,800円以上も上昇した後、10月5日の直近安値(27,460円)まで3,300円下落した期間も14営業日と少なく、値動きがかなり荒っぽくなっています。
こうした値動きを株価材料と重ね合わせて見ると、日本株の相対的な出遅れ感の修正や、新型コロナウイルスにおける、ワクチン接種の進展や新規感染者減少傾向による経済回復期待、そして、国内政治の変化に対する期待などが株価を押し上げ、その後、中国恒大集団の債務問題への懸念や、米長期金利の上昇傾向が、経済回復に伴ったものだけでなく、人件費や原材料高といったコスト意識によるインフレへの警戒を強めたこと、さらに、米国の債務上限問題をめぐる米議会の攻防などが株価を押し下げた格好です。
足元で懸念されている、中国恒大集団の債務問題については、中国当局の対応などによって、「影響は限定的で、金融ショックにはならない」という見方が優勢になっていますが、中国GDPにおける不動産セクターの寄与度は7%を超えるとされているため、仮にショックは回避できても中国経済への悪影響からは逃れられないと思われます。さらに中国については、電力不足による工場稼働や国民生活などへの影響も心配され、国際的なサプライチェーン(供給網)の混乱も気掛かりです。
また、米国債務上限問題についても、目先の期限とされる10月18日までに米議会で解決が図られ、デフォルト(債務不履行)に陥ることはないと思われます。実際に、米与党の民主党は「財政調整措置(リコンシリエーション)」という手段を通じて、債務上限を引き上げる法案を通過せることが可能です。ただし、この財政調整措置は1会計年度に1回しか行使するこができず、現段階でこの手段を用いると、今後の経済政策の予算関連法案を通過させることが難しくなることも有り得ます。
そのため、目先の不安が払拭されて株式市場が大きく反発する展開も想定されますが、中期的な不安が燻り続けることになるため、株式市場が再び調整局面を迎えるシナリオも考えられます。足元の慌ただしい動きに無理して付いて行かなくても、「次の買い場」の機会が訪れる可能性は高いと言えそうです。
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