日本株の「出遅れ修正」加速と「リスクオン」判断
今週の国内株市場ですが、日経平均は8日(水)の取引で終値が4月5日以来となる3万円台の節目に乗せてきました。わずか14営業日前には年初来安値を更新していたのが嘘のように一気に株価が切り返してきました。この期間の上昇幅はザラ場ベースで3,200円を超えているほか、テクニカル分析的には上昇トレンドへの転換を示すサインも多くなっています。
にわかに動き出した国内政治動向が、ひとまず与野党の政権交代ではなく、与党継続で次期政権の経済政策への期待感の方に向かいつつあること、そして、新型コロナウイルスの新規感染者数が足元で減少傾向となっていることが重なり、日本株の出遅れ感を修正する動きが強まった格好と言えます。週末に控えるメジャーSQへの思惑も上昇を加速させている面もあります。
とはいえ、米国株市場に視線を向けると、テーパリング(金融緩和の縮小)開始時期が早まらないとの見方で、ハイテク・IT企業を中心とするNASDAQは上昇しているものの、そもそも、テーパリング開始の後ずれ観測が米8月雇用統計の結果が予想を大きく下回る結果だったことがきっかけだったこともあり、景気敏感株の多いNYダウやS&P500は上値を伸ばせていません。景気減速への警戒は、中国も先週発表された8月PMI(購買担当者景況指数)が製造業・サービス業ともに冴えない結果となったほか、国内でも、今週8日に発表された8月景気ウォッチャー調査の結果が3カ月ぶりに悪化するなど、必ずしも世界の景況感で見ると、「リスクオン」ムードになっていません。
そのため、日本株がこの先どこまで上値を伸ばせるかについては、「どこまでが出遅れ修正」なのか、「どこまでの期待を先取りしている」のか、「どのくらいの需給要因の影響」を受けているのかを見極める必要があります。
出遅れ修正については、8日(水)取引終了時点の予想PERが日経平均で13.95倍、TOPIXで16.41倍となっており、米国株に比べればまだ割高感が意識される水準ではなく、株価上昇の余地がありそうです。
厄介なのが、どこまでの期待を先取りしているかです。今のところ、中長期に景気が回復していくという見方そのものに変わりはありませんが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によるサプライチェーンのボトルネックとの問題が解消されておらず、景気や企業業績に影響を与える懸念が燻っているほか、国内の次期政権に対する期待も、政策の議論が具体的になるにつれて、期待が萎んでしまう可能性もあります。
足元の株価上昇はトレンド初期の段階です。一般的に、トレンド初期では懐疑的な見方も多く、大きく下げる場面があってもおかしくはありません。少なくとも需給要因絡みの急上昇は週末のメジャーSQでいったんストップすることが見込まれます。足元の上昇がストップし、その下げたところでしっかり買いが入って、いちばん波に乗るとされるトレンド中期へと移行できるかが試されることになりそうです。
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