株高とバブルの議論
今週の国内株市場ですが、日経平均は週初の15日(月)の取引で、約30年ぶりに30,000円台の大台に乗せてきました。先週あたまに29,000円台を超えてきたばかりですので、ここ2週間で大きく株価水準を切り上げたことになります。
そして、日経平均が30年ぶりの株価水準に戻してきたことで、当時のバブル期と足元の状況を比較する動きも出てきています。結論としては、今回は日本だけでなく、世界全体の流動性相場であることや、あらゆる銘柄が熱狂的に買われているのではなく、成長性や健全性などで銘柄が選別されていることなどを挙げ、まだ上昇余地があるという見方が優勢のようです。
今週に入り、新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でも始まりましたが、時を同じくして国内外の感染者数の減少傾向が続いていることや、想定よりも堅調な企業決算、金融緩和の継続見通し、そして間もなく成立すると思われる米国の追加経済政策への期待などを背景に、現在の相場を取り巻くムードはかなり先高観が強く、急ピッチな株価上昇による調整が懸念されるものの、目先のネガティブな状況や不安よりも、その先にある明るい未来の方に視線が向いている印象です。
確かに、足元の株価は行けるところまで上値をトライすると思われますが、ある意味で異常とも言える30年前の状況と比べて大丈夫というリクツはあまり意味がありませんし、最近までの株式市場は米国の長期金利上昇を警戒材料としていましたが、景気回復に伴う「良い金利上昇」であれば、ある程度の金利上昇は許容できるという見方に変わりつつあります。そもそも、これまでにない規模で行われてきた金融緩和が果たして、「ある程度」のインフレと金利上昇にとどまれるかは未知数です。
そのため、今後は「売りの質」を見極めることが重要になってくると思われます。つまり、「下がる」と考える人の売りをこなす局面から、「もういいだろう」と考える人の売りが出始める局面への変化です。
前者の局面では、強気派と弱気派のせめぎ合いの中で、時折株価が下落するも、最後は買いが優勢になって、売り方の買い戻しを巻き込んでさらに株価が上昇していきます。買いが優勢になれば、乗り遅れまいとする投資家の買いも加わって、さらに株価が上昇していき、市場内の勢力図は買い手が多数派になります。
ただし、その後は買い手の中から売りが出てきて、「今日の友が明日の敵」となっていきます。すると利益確定を急ぐ動きが殺到し始めて後者の局面に入り、株価下落のピッチが早まりやすくなります。現在の状況はまだ前者の局面と思われますが、そろそろ後者の局面を意識しておいても良いかもしれません。
もっとも、こうした局面の変化を探るのは難しいですし、これといった明確なサインもないのですが、特に大きな材料もなく株価がある程度大きく下がった日には注意かもしれません。市場が「利益確定のまとまった売りに押された」、「急ピッチな上昇による調整」程度の受け止めで楽観ムードが継続しているあたりが、後になって「あれが相場の転換期だった」ということがよくありますので、いつでも逃げられる準備をしておく必要はありそうです。
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