株式市場は「調整の意味」を探る展開が続く

2020/10/02

「月またぎ」で10月相場入りとなる今週の国内株市場ですが、29日(火)の取引時間中に直近高値(9月14日の23,582円)を更新する場面があったものの、そこから上値は伸ばせず、これまでのところ、23,000円台前半での取引が続いています。

国内では9月の権利確定や日銀短観、米国では大統領候補者の討論会や週末の9月雇用統計、中国では国慶節絡みの大型連休入りなど、今週は材料が多く、動きづらい面がありますが、一応堅調な相場地合いの格好です。

先週までの米国株市場は、新型コロナウイルス感染者の再拡大をはじめ、複数の大手金融機関が巨額のマネーロンダリングに利用されていた疑いが報じられたことや、米追加経済対策の成立が遅れることを警戒する動き、米中対立の先行き不透明感などが重なったことが軟調となる場面が目立ちました。

もっとも、冷静に見れば、マネーロンダリング疑惑報道以外の材料は特に目新しいものではなく、既知の材料であれば、市場はある意味「慣れ」があるため、織り込みや切り替えが早くなります。実際に、米国株市場は、米追加経済政策において民主・共和両党の協議が進展しているという観測を好感して上昇しています。

マネーロンダリング疑惑についても、一大スキャンダルとなる展開は否定できないものの、2016年のいわゆる「パナマ文書」の時のように、相場の下げ材料としての賞味期限が短くなることも考えられ、今のところは株価を動かす材料になっても、中長期的に株価を決める材料になっていません。29日(火)に行われた米大統領候補者の討論会が結果的に「ディスり合い」となってしまい、政治的に不安定な状況は続きそうですが、米国株の調整局面は落ち着きつつあるという見方が強まっています。

また、日本株においては、新政権への期待による「デジタル庁」関連銘柄をはじめ、日銀のETF買い、バリュー株への見直し、IPOの人気化などが継続していることで日米株価のデカップリングとなっています。ただし、6月以降の日経平均は、株価が「急騰してはジリジリと失速」という値動きが繰り返されており、結果的に株価水準が切り上がっても、上昇基調の継続感に欠けるため、上手く相場に乗ることは難しく、個別銘柄を選別しながら物色する動きが中心となりそうです。

日本株のさらなる上値追いについては、今後の米国株に左右されます。NYダウ・S&P500、NASDAQの主要3指数が75日移動平均線水準の攻防から反発気味となっており、米株の調整が「過熱感の修正」にとどまりそうですが、仮に下抜けてしまった場合には「中期シナリオの修正」が意識され、下げが加速する懸念が出てきます。気がかりなのが、週足ベースの米NASDAQのMACDが、先週シグナルを下抜けてトレンド転換のサインが出現していることです。そのため、10月相場入りは株式市場の「調整の意味」を探る展開となりそうです。

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