下がり切らないモヤモヤとスッキリしない上値期待
「月またぎ」となった今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は弱含みのもみ合いが続いています。節目の22,000円前半の水準が意識されている展開です。
新型コロナウイルスについては国内外で感染拡大傾向が懸念されているほか、中国ではいわゆる「香港国家安全維持法」が30日に制定・施行されて、「一国二制度」が危機状態に陥っています。海外諸国からの反発を招いているだけでなく、米国からは中国に対する規制・制裁や香港の優遇措置の撤廃を検討する動きなどが見られています。このふたつについては先行きが不透明のため、今後も株価の下振れリスクとして燻ることになりそうです。
このように、株式市場を取り巻く環境はあまり良いとは言えないにも関わらず、相場自体はあまり崩れていない印象です。テクニカル分析的には、中長期の動向を示すとされる200日移動平均線がサポートとして機能している格好です。
足元の相場を支えているのは、①国内外で経済活動が再開されたことに伴って実体経済の回復への期待が高まり、経済指標も改善や底打ち、最悪期を脱したと思われる結果が続いていること、②日・米・欧の金融緩和による資金供給や信用リスク不安が後退していること、③コロナ治療薬やワクチン開発が順調に進んでいるとの見方、④高水準で積み上っている売り方の買い戻し圧力等の需給面などが中心です。
とりわけ、存在感が大きいのは②の金融緩和です。例えば今年に入ってからの日銀のETF買いは6月末時点で4兆7,000億円を超えています。2019年の購入合計額が4兆3,772億円ですので、この半年間で昨年1年分の額を上回ったことになります。さらに、欧米の金融緩和であふれたマネーが、コロナの影響度が比較的まともとされる日本市場に流れている動きもあります。
仮に、「コロナの拡大が止まらず、実体経済悪化の懸念が高まったとしても、さらなる金融緩和が相場を支える」という見方は続きそうです。多少の悪材料が出てきても需給の支えによって売り込みきれず、結果的に目先の株価下落は「買い」となるため、株価もある程度の水準を維持すると思われます。ただ、先日まで米株市場が最高値をつけていたこと、日本株も高値圏まで戻してきたことを踏まえると、需給要因が主力となっている株価上昇はスッキリした上値期待へとつながりにくいと思われます。
もっとも、株価を維持するために市場がさらに多くの資金を欲するという構図は、いつまでも続けられるものではなく、市場が描いている思惑と実際の実体経済との現実とのギャップを拡大させるほか、経済情勢や企業業績を反映する鏡としての市場の役割からも乖離してしまうため、長い目でみれば将来への禍根を残すことも考えられそうです。
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