2つの「オーバーシュート」に揺れる株式市場
今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は底打ちから大きく反発する動きを見せています。とりわけ25日(水)の取引では前日比1,454円高、歴代5番目の上昇幅となり、19,000円台に乗せてきました。先週末終値(16,552円)から一気に3,000円近く値を戻した格好です。
これまでの株価急落が一服しつつある中で、日銀による大量のETF買いや、米FRBによる量的緩和の再開、東京五輪が中止ではなく、延期の方向になったことを受けたことなどが背景です。いずれにしても、「株価の下げ過ぎ(オーバーシュート)」感からの修正の動きと言えます。
前回のコラムでも紹介しましたが、足元の相場は「事象」「不安」「対応」の視点で捉える必要があります。新型コロナウイルスの感染拡大や原油安などの現在発生している「事象」に対して、景気減速や企業業績の悪化、信用リスクといった「不安」が高まり、金融・財政政策などの「対応」がどこまで事象や不安に抗えるかといった構図です。
先週も国内外で大規模かつ様々な「対応」策が出てきましたが、株式市場の反応はイマイチで、「不安」を拭い去ることができませんでした。というのも、対応策はふたつに分けられ、一方は新型コロナウイルス対策、そしてもう一方は経済対策となりますが、新型コロナウイルス対策の強化はヒト・モノの動きを制限し、経済活動を抑制するものとなるため、金融・財政政策の効果と打ち消し合ってしまうからです。
また、肝心の「事象」についても、新型コロナウイルスの世界的な拡大傾向が続いています。国内でも海外への渡航自粛や、首都東京の都民に対しても今週末の不要不急の外出自粛を要請などの動きが出てきており、政府の専門家会議からも、これまでの「クラスター(集団感染)」というキーワードだけでなく、「ロックダウン(都市封鎖)」、「オーバーシュート(感染爆発)」といった言葉を耳にすることが増えています。
足元の株価は下げ過ぎの「オーバーシュート」で反発していますが、新型コロナウイルスについては感染拡大の「オーバーシュート」の懸念が高まっている状況です。
そのため、目先で株価が反発したとしても、「事象」「不安」「対応」の掛け合わせが好転したものでなければ、株式市場は簡単に下げてしまう状況がくすぶることになるため、注意が必要です。
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