日本株だけが冴えなくなる懸念
今週の国内株市場ですが、これまでのところ慌ただしい動きが目立っています。週初に発表された国内10-12月期GDPが年率換算でマイナス6.3%と予想以上に下振れたほか、米企業のアップルが新型肺炎の影響で1-3月期の売上げが予想に届かないとの見通しを発表したことなどを背景に、日経平均は23,000円台の前半まで株価水準を切り下げた後に値を戻している展開です。
テクニカル分析的には、日足の日経平均が3カ月の値動きの中心線である75日移動平均線を下抜ける場面があるなど、チャートの形はあまり良くないのですが、それでも一連の新型肺炎で揺れ動いた23,000円~24,000円の範囲内での推移にとどまっており、「情勢を見ながら株価の落ち着きどころ」を探っている状況と言えます。
海外の株式市場の動きを見ても、米国株市場は最高値圏をキープしているほか、中国の上海総合指数も3,000p水準まで株価を戻しています。今週に入って中国での新型肺炎による感染者や死者の増加ペースが鈍化しつつあり、新型肺炎をめぐる株価不安はひとまず一服している印象となっています。
今回の新型肺炎による実体経済の影響としては、①中国絡みのサプライチェーン、②中国の消費市場、③国内のインバウンドの3つに分けられますが、新型肺炎の拡大が順調に収束に向かえば、中国の製造工場などが順次再開されるため、①については比較的早期に持ち直すと見られているようです。その後は②と③の回復にどのくらいの時間が掛かるのかを見極めていくことになります。
その一方で、気になるのは日本国内での感染が拡大傾向にあることです。何とか加速度的な拡大は回避したいところですが、事態があまり改善せずに海外から「日本も感染当事国」との認識が強まってしまうと、日本株に対する買い控えにつながりかねません。冒頭で触れたGDPの悪化は昨年10月の消費増税や台風の影響が主な要因とされていますが、次の1-3月期はさらに新型肺炎の状況が加わってくることになります。リクツの上では2四半期連続のマイナス成長はリセッションとされています。
そのため、引き続き海外の株式市場が持ち直しを見せたとしても、日本株はその流れに乗り切れない可能性があります。中国に次ぐ新型肺炎の感染国となってしまったことに加え、経済減速懸念の高まりによって、株価が上昇しにくくなれば、上値よりも下値をトライすることで利益を狙う動きが出てくることも想定され、注意した方が良いのかもしれません。
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