足元の日本株上昇は年末株高につながるか?

2019/10/18

連休明けとなった今週の国内株市場ですが、これまでのところ株価水準を切り上げる形となっています。日経平均は週初の15日(火)に節目の22,000円台を上抜け、翌16日(水)には424日高値の22,362円をも超えて「年初来高値更新」ゾーンに足を踏み入れた格好です。

 

こうした株価上昇の背景には、先週末に行われた米中の閣僚級会合において一部合意がなされたと報じられたことや、米国の企業決算シーズンが順調な滑り出しとなったことが挙げられます。国内企業の決算発表もこれから本格化していきますが、米中関係の改善期待が国内外の景気や企業業績の回復見通しにつなげることができれば、年末株高へ向けたさらなる株価上昇の未来図が描けそうです。

 

ただし、事はそう上手く運ばないのが相場の常です。足元は上値追いの流れに素直に乗った方が良さそうですが、「もう一波乱あるかも」くらいのスタンスで臨むのが無難かもしれません。

 

今回の米中協議で合意されたのは、中国側が「米国からの農産物(豚肉・大豆など)の輸入拡大」や「知的財産権保護に向けた取り組み」、「為替介入実績など通貨政策の透明化」などを受け入れる一方で、米国側は「1015日に発動予定だった対中制裁関税(第13弾)の税率引き上げを見送る」というものです。

 

米国農産物の購入拡大は中国内で発生した豚コレラの影響という別の理由があるほか、知的財産権の保護についても今年3月の全人代ですでに関連何法案を成立させており、特に目新しいものではなく、核心的な分野での合意ではありません。

 

そもそも、今回は15日発動の第13弾の制裁関税の税率引き上げが見送られましたが、12月には別の第4弾(2回目)の制裁関税が発動されるスケジュールに変更はなく、米中間で協議を継続してさらに踏み込んだ合意が求められます。また、今回の合意文書の署名は来月のAPEC首脳会談のタイミングとの見方が多くありますが、それまでの間にネガティブな動きがあるかもしれません。合意間近とされながら「ちゃぶ台」がひっくり返された経緯は今年の45月にかけても見られました。

 

つまり、米中摩擦の状況に対してムードは改善したものの、状況はあまり変わっていない点には注意しておく必要があります。摩擦の長期化は国内外の景気や企業業績の底打ち・回復期待を先延ばしさせてしまい、株価の動きが失速していくシナリオは燻っています。

 

もっとも、米国の金融緩和をはじめ、企業業績や国内景気に対する楽観的な見方が相場を支えていますが、足元の株価上昇は「まだ買える」段階から脱し切れたとは言えない状況です。今後は「もっと買える」状況にできるかが年末相場に向けての焦点になると言えそうです。

 

 

 

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