「迷い」と「倦厭」と「崩れない株価」

2019/08/30

8月最終週となる今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は株価水準を一段引き下げながらも、これまでの値動きの範囲内での推移が続いています。

 

そもそも、今週の日経平均は戻りを試す動きが期待されるはずでした。その理由は、先週末(8月23日)にジャクソンホール会議で行われるパウエルFRB議長の講演内容が、米国の追加利下げを示唆するものになるだろうという観測があったからです。

 

実際の講演内容も追加利下げに含みを持たせる想定通りの内容で、この日の米株市場の初期反応もプラスとなっていました。しかし、その風向きが変わってしまいます。張本人はやっぱりあの人、トランプ米大統領です。

 

パウエル議長の講演内容について、ツイッター上で「FRBは相変わらず何もしていない」、「パウエル議長と習近平主席のどちらが米国の敵なのか」といった具合に批判的な態度を示したほか、米企業に対しても、中国から事業を撤退させ、米国内での生産拡大を要請したり、中国の報復関税への対応を講じるなど、相場の視点が米中関係の悪化懸念へと変わりました。これにより、米株市場は下落に転じ、結局NYダウは前日比623ドル安で取引を終えています。

 

そんな中で迎えた今週の取引ですが、「日経平均2万円割れ」も警戒されるムードだったにもかかわらず、週初26日(月)の日経平均終値は20,261円でした。前日比で449円安ではあったものの、株価水準としては、昨年安値(12月26日の1万8,948円)から、今年4月26日の高値(2万2,362円)までの上昇幅に対する「61.8%押し(2万252円)」のところで踏ん張った形になります。

 

過去に遡ってみても、8月6日と15日、そして6月3~4日の取引もこの61.8%押しラインで下げ止まっています。今週も同様のパターンがみられたことにより、今後の株価が思ったよりもしっかりとした足取りとなって反発していく場面もありそうですが、あまり期待はできないかもしれません。

 

今年に入ってからの株式市場は、米中摩擦などの「不安」と、米金融政策のハト派スタンスによる「期待」が繰り返される格好で株価が上げ下げしてきました。ただし、先週末の米国株は、「パウエル・プット(期待)」を「トランプ・スランプ(不安)」が打ち消す格好で下落していますので、両者のバランス関係が崩れ、これまでの「株価ループ」シナリオに変化が起こりつつある可能性があります。

 

さらに、さすがにここまで同じ材料で不安と期待の繰り返しが続いてしまうと、市場は次第に迷いや倦厭が生じ、懐疑的になりやすくなります。今週に入って、トランプ米大統領が米中協議再開をほのめかしたり、中国も消費刺激策を打ち出したりしていますが、株価の反発力はいまのところ限定的にとどまっているほか、日々の値動きの荒さの割に方向感が出てないのも、こうした市場心理の現れかもしれません。

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