三番底形成で調整は終息か

今年は桜の便りが思いのほか早く、しかも好天の中お花見ができるとあってとてもいい季節を迎えることができた。ただし、私のように花粉症に悩まされる者とあっては、おちおち花見もできず、いろんな症状に悩まされる。最近では「エア花見」といって屋内でお花見を楽しめる施設もあると聞くので、そちらの方を活用したいものだ。さて、遅くなったが2月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

2月のマーケットは日米市場ともに大きく下落する展開となった。

米国市場は11か月ぶりに反落。1月の雇用統計は予想の+17.5万人に対して+20万人となり、平均時給も+2.9%と大きく上昇したことからインフレ懸念が台頭し長期金利が2.95%と4年1か月ぶりの水準に。2/5のNYダウは1175ドル安、2/8は1032ドル安となり恐怖指数が30を超える水準まで上昇。FRBの新議長パウエル氏が初の議会証言で「段階的な利上げが適切」と述べたことで利上げペース加速が意識され、トランプ大統領が鉄鋼とアルミの追加課税の方針を打ち出して自由貿易阻害への懸念が広がりボラティリティの大きい状態が続く。2月のNYダウは25029ドルと前月より1120ドル下落し月間騰落率は-4.3%。ナスダックは7273となり138ポイント下落の-1.9%となった。

東京市場も6か月ぶりに反落。米株安や米国の長期金利を受けて警戒感が強まり売り優勢。2/6の日経平均は1071円安となり2年ぶりの下げ幅を記録し、一時は21000円を切るレベルまで売られる。為替も一時105.55円まで円高が進行。本格的に始まった3Qの決算発表は好決算が多いものの相場全体の下げの中、大半の銘柄が売られる形に。リスク・パリティ戦略ファンドの売りも相場の重荷に。売買代金は3.4兆円程度で推移。為替は先月末の108.70円から今月末は107.10円へ。2月の日経平均は22068円で取引を終え、1月末の23098円から1030円下落し月間騰落率は-4.5%、Topixは-3.7%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-2.1%、マザーズ指数は-5.7%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」  における2月のパフォーマンスは-3.8%となり、年初来-2.3%、累計では+161.3%(1月末+171.5%)と後退。2月末時点のポートフォリオの株式比率は76%で24銘柄を保有(1月末は80%で25銘柄を保有)。株式部分の含み益は+29.2%(1月末は+34.2%)。76%のうち現物株のウェートは36%、日経レバレッジETFの保有比率25%の実質ロング比率は50%でロングは合計86%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは61%のロングポジションである。1月末の65%からダウンした。

2月の日米市場は久々に大きな下落に見舞われた。米国株の下落は金利上昇が引き金であるが、ボラティリティが大きくなればリスクを減らすリスク・パリティ戦略ファンドの売りが席巻して「売りが売りを呼ぶ」様相になった。ただし、米国株についてはバリュエーションの高さが目立っていたことから、健全なる調整であると言える。

一時は戻り歩調となったもののパウエル発言、トランプ大統領の追加課税、米国安の3重苦で日本株も下旬にかけて再び売り優勢となった。2月末時点でのNYダウの安値からの戻り率は+42%、日経平均では+34%と日本株の出遅れ感が強い状況であったが、3月に入りさらに安値を付けに行く展開となり、日経平均は3/23に下落からの三番底となる20617円を記録。3/28時点での安値からの戻り率はNYダウが+10%、日経平均が+12%とほぼ遜色ない形となっている。

米国の貿易摩擦懸念や政局の混乱はあるものの、私自身は徐々に終息に向かうと考えている。為替や金利の懸念はあるものの徐々に落ち着きを取り戻している。仮に20617円で三番底を確認となれば、今後はファンダメンタルズとにらめっこしながら上昇地点をさぐることになるだろう。

「ピンチをチャンスに変える」ことは投資家にとって重要なスキルである。まだ完全には強気になれないもののチャンスをうかがっていきたい。日経平均EPSは1678円と決算発表前の1511円から11%増加し、PERは12.5倍と過去5年間の平均PER15.5倍に対して19%ディスカウントされている。ファンダメンタルズからみた株価水準は売られ過ぎである。投資家にとっては厳しい局面であるが、相場に逆風はつきもの。へこたれることなく、しっかりと乗り切れるよう強い心を持って臨んでいただきたい。

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