しばらくは膠着状態の相場展開に

今年の5月はすでに真夏日を連発して、若葉の季節に似つかわしくない気候だったように思う。すでに湿度が上がってきていて、梅雨入りを思わせる雰囲気である。さて、遅くなったが4月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

4月のマーケットは米国市場の小幅高に対して、日本市場は小幅安となった。

米国市場は3か月続伸。3月の雇用統計は+21.5万人と予想の+20万人を上回り、35ドル台まで下落していた原油先物相場は46ドル台まで上昇。FRBが政策金利の据え置きを決定したことから買い安心感。ただしNYダウが18000ドル台を回復した後は高値警戒感から利益確定売りの展開に。4月のNYダウは17773ドルと前月より87ドル上昇し月間騰落率は+0.5%。ナスダックは4775となり94ポイント下落の-1.9%となった。

東京市場は反落。為替が3月末の112円台から一気に107円台まで上昇したことを受けて、日経平均は4/6までアベノミクス相場最長となる7日続落し15700円台まで下落。その後は、日銀の金融緩和期待により投機的な買い戻しで為替は111円台、日経平均は17500円台を回復、しかし「現状維持」との発表を受けて再び円高・株安の展開に。売買代金は2.2兆円前後の低水準で推移。為替は3月末の112.50円から108.80円に。4月の日経平均は16666円で取引を終え、3月末の16758円から92円下落し月間騰落率は-0.6%、Topixは-0.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-0.1%、マザーズ指数は+10.9%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における4月のパフォーマンスは-1.4%となり、年初来-6.4%、累計では+136.9%(3月末+140.2%)とやや後退。4月末時点のポートフォリオの株式比率は56%で17銘柄を保有(3月末は55%で18銘柄を保有)。株式部分の含み益は+8.6%(3月末は+11.8%)。ただし、56%のうちダブルインバースETFの投資比率23%の実質ロング比率は-46%、純金ETFの10%は株式ではないため、純粋の株式のロングウェートは56%ではなく-33%である。「現物株のウェートダウン、日経ダブルベアのウェートアップ」という措置を取ったため、3月末の-10%から大幅にショートポジションが増加した。

4月の第2週~第3週にかけての2週間の株式市場の上昇は「実需での買いというよりもHFTによる人為的な先物主導」「日銀が金融機関への貸し出しにマイナス金利適用を検討というニュースが過大評価」と弊社のポートフォリオレポートでコメントしていたが、4月の第4週になって金融緩和を期待していたストーリーが見事に裏切られ、そのボロが露呈した。加えて、企業業績において外需関連銘柄の17/3期予想はボロボロの状況というのが正直なところである。

5月のマーケットは戻り歩調が継続している。伊勢志摩サミットで安倍首相が「現在の経済状況はリーマン・ショックと類似の状況」と述べたことで、外部環境を理由に消費増税先送りのシナリオが濃厚となった。しかしながら、この点についてはすでにマーケットには織り込み済みであり、もはや買い材料にはなっていないとの印象を受ける。

日本市場はこのところ3週続伸だが、売買代金が極めて低調でマーケットエネルギーが乏しくなっている。財政出動への期待はまだ残されているものの10兆円以上の大型補正予算にならない限りはマーケットを押し上げる要因には働かないだろう。6/23のイギリスの国民投票ならびに6月のFOMCが当面の重要イベントとして意識されることになるだろう。しばらくは膠着状態が予想される。

米国が「アメリカ経済は良好」との判断の下に6月あるいは7月に利上げに動けば、これをきっかけに米国マーケットは大きく崩れる可能性があるため警戒が必要である。またトランプ氏の支持率が急上昇していることも懸念材料。ダウンサイドリスクに備えて、引き続きショートポジションによる運用を継続する。

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