昨年と同じタイミングで株式市場は底入れか
いよいよ11月。ここから時間はさらに加速する。今年やるべきことはきちんとこなして年末を迎えたいものだ。
さて、10月のマーケットはようやく底入れの兆しとなり、日米市場とも反転した。
米国市場は実に6ヵ月ぶりに上昇。過去5ヵ月間の下落率が大きかったこともあり、NYダウは+9.5%となり月間上昇率としては2002年10月以来9年ぶりの大きさとなった。ギリシャの財政赤字が予想以上に膨らみ支援継続への不透明感が強まった10/3こそダウは10655ドルと年初来安値を付けたが、その後はEUが危機回避のための対策に乗り出し、首脳会議において債務問題に関する包括戦略に合意したことで投資家心理が改善。米消費動向も堅調であることが確認されて買戻しが顕著になった。
日本市場も反転。10/4には日経平均が9/26につけた年初来安値8374円を下回る場面があった。為替が対ユーロで10年ぶりの100円台をつけ、欧州債務問題に加えて日本特有の悪材料が足かせとなった。売買代金も8日連続で1兆円を下回るなど超閑散状態が続いていたが、EUの包括合意や欧米市場の大幅上昇を受けて、日経平均も一時は2ヶ月ぶりに9000円台を回復した。10/31に日本単独による為替介入がおこなわれ、対ドルで79円台にまで円安となった。10月の日経平均は288円上昇の8988円にて終了し月間騰落率は+3.3%、Topixは+0.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+1.0%、マザーズ指数は+2.7%となり、先月の大幅下落から反転。
これでようやく今年の日経平均の安値は9/26につけた8374円で確定した可能性が濃厚となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における10月のモデルポートフォリオのパフォーマンスは+1.1%で着地。2011年の年初来では+6.0%となり、日経平均-12.1%、Topix-15.0%、ジャスダック平均-5.8%など主要指数に対しての優位性に変化はない。時間的分散投資の効果が大きくはたらいている。2009年3月スタート時からの累計では+45.7%となっている。
欧州債務問題は包括戦略こそ合意されたものの、これからその実行力ならびに具体的効果が厳しく問われていく。総悲観論こそ後退したものの、まだまだ下値固めの局面である。モデルポートフォリオは10月の最終週に株式投資比率をやや引き上げて34%としたが、今後は状況を見ながら対処していく。昨年もちょうどまさにこの時期(11月4日から)にギリシャ問題を背後に抱えながら日本市場の上昇が始まったため、年末に向けて楽観的真理に変化していく可能性がなきにしもあらずである。
あくまでも「なきにしもあらず」という憶測レベルの話であるが、株価の季節的習性というのは案外無視できない要素だと私は考えている。「年末に向かって株価は上昇し、通期の決算発表が完全に終わってしまう5月末頃あたりが天井、その後は秋口に向かって株価はサマーラリーを迎えることもなく軟調になる」というのが最近の日本マーケットの定番である。米国マーケットでは統計的に見ると「秋に買って、春に売れ」というシナリオが非常にワークしているが、日本株市場も基本的には米国市場と歩調を合わせる動きしかしなくなった昨今、超閑散な現在のマーケットも少なくとも年末に向けて徐々に注目度は高まっていくことになるだろう。