底値固めから業績相場へ
10月もすでに終盤に入り。すっかり「つるべ落とし」の季節になった。東京では午後5時を過ぎると屋外は薄暗くなり、午後6時になると真っ暗である。夏の頃に比べて、明らかに時間感覚に違和感がある。サマータイムは通常時間による運用、冬季のみウインタータイムを導入して活動すれば(通常よりも1時間遅らせる)、日本人の肌感覚にピッタリくるのではないかと最近よく思う。
さて、9月のモデルポートフォリオ状況と最近のマーケットに関するコメントを綴ってみる。
9月のマーケットは米国市場が反落したのに対し、日本市場は反発となった。
米国市場は反落。8月のNYダウは535ドル上昇して2月(622ドル高)以来の上げ幅となり、9月も一時は過去最高値を更新したが、後半は利益確定売りに押された。8月の雇用統計が+14.2万人と市場予想の+22.5万人を大きく下回ったものの金融緩和策が長期化するとの見方が強まった。また、米経済指標は概ね好調であり景気拡大への期待は継続。一方でユーロ圏や中国での景気減速懸念やイスラム国における空爆、香港での民主化デモなどがリスク要因として嫌気された。9月末におけるダウは17042ドルと前月より55ドル下落し月間騰落率は-0.3%。ナスダックは4493となり86ポイント下落の-1.9%となった。
日本市場は反発し、日経平均は一時年初来高&昨年来高値を更新した(9/9付の前回のコメントで述べていた通りの展開)。米国の量的金融緩和の終了で米長期金利が上昇したことやスコットランドの独立否決、また輸入企業による為替予約などで先月末の104.20円から109.70円まで円安が一気に進み、企業業績への期待が高まった。8月までの小型株中心から9月は大型株の買いが優勢となった。売買代金は2兆円を超える日が増え、マーケット参加者が増加する兆しも確認。9月の日経平均は16173円で取引を終え、8月末の15424円から748円上昇し月間騰落率は+4.9%。またTopixは+3.8%上昇した。一方、小型株市場はジャスダック平均が+1.4%、マザーズ指数は-3.3%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における9月のパフォーマンスは+1.1%となり、年初来は+0.8%(8月末-0.3%)、累計では+141.7%(8月末+139.0%)と月次ベースでの過去最高値を更新。保有株式のウェートは8月末の83%から88%へアップ。ヘッジ戦略をおこなっていないためネットロング比率は88%となった。ポートフォリオにおいて新高値をつける銘柄が先月の14銘柄から16銘柄へと増加。
だが、10月に入りマーケットは急転直下した。欧州景気の減速、中国経済の減速に加えて、米国でも一部の経済指標にネガティブな数字が出たためそれを嫌気した売りが殺到。加えてエボラ出血熱の拡大が投資意欲の減退につながった。表面的にはこうなるが、今回の下落の最大の要因はヘッジファンドを中心とした「投機的」な仕掛け売りである。今年のヘッジファンドはやることなすこと裏目に出ることが多く年初来のパフォーマンスはマイナスであり、それを取り返すつもりで勝負に出たことがマーケットの振幅を大きくしている。確かに景気減速に関する数字は出ているが、今のところは通常の経済活動でも散発的に見られる程度のものだ。また、景気対策の方策は金融緩和策を始めとしていろいろあり、必要に応じて適切に発動される。マーケットがどんどん下落するシナリオは考えづらい。
実は10月は短期的な株価下落が起こりやすい。昨年は9/27の14817円から10/8に13748円へと日経平均は7.2%下落し(米国の国債発行不能問題や一部政府機関の閉鎖)、一昨年も9/19の9288円から10/15に8488円まで8.6%下落した(欧州債務問題と世界経済減速懸念)。そして、今年は9/25の16374円から10/17には14532円と11.2%の下落を記録した。
そして先週になってようやく下げ止まりムードが出てきた。当社の投資実践コースの会員の方々に対して述べていた「調整期間は最大で10/17頃までに終わる」とのコメントは的確となる一方、「日経平均の下値のメドは15100円」は一度は14500円台まで下げたもののすでに15100円を上回る水準を回復している。
世界経済不安やエボラ出血熱などの外部要因が蒸し返される可能性はあるものの、世界的な追加的金融緩和策や今週から本格的に始まる日本企業の決算発表により底値固めから上昇をうかがう展開になるだろう。
10月の下落は今年最後の大きな調整となった可能性が高く、ここからは再び年初来高値奪回へ向けての展開が予想される。ポートフォリオの中身をしっかり点検しながらリターンを積み上げていきたい。
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