落ち着きを取り戻しつつあるマーケット
5月の下旬に早々の梅雨入り宣言がおこなわれたとたんに全く雨の降らない天気が東京では続いていたが、ようやく梅雨の季節らしくなってきた。まずは、5月のポートフォリオのご報告である。
5月のマーケットは米国が高値更新に対して、日本は大波乱の展開となった。
米国市場は6ヵ月連続の上昇。マクロ経済指標は雇用統計が予想を上回り、住宅価格指数や消費者信頼感指数などが高水準となった一方、鉱工業指数や住宅着工戸数などが低調となった。世界的な金融緩和の流れから余剰資金が相場を押し上げるとの期待が高く、NYダウは史上初の15000ドルを付けた。一方、米国のFRBは早期に量的金融緩和を縮小するのではという見方がくすぶり続けたため上値を抑えた。日本株市場が大波乱となったものの、NY市場はほとんどその悪影響を受けなかった。5月のダウは15115ドルとなり276ドル上昇し月間の騰落率は+1.9%。ナスダックは3455ドルとなり127ドル上昇の+3.8%となった。
日本市場は大波乱の展開。月間の日経平均の値幅は2038円と東日本大震災の11年3月の2148円に匹敵する大きさとなった。昨年7月以来、10ヶ月ぶりにマイナスとなった。売買代金は07年8月を上回る75兆円と過去最高を記録。一時は16000円寸前まで上昇したものの、中国の5月のPMIの悪化をきっかけに急落した。投機筋によるプログラム売買で日経先物が大きく売られ、現物株も投げ売りが止まらなくなった。為替も103円台から100円台前半まで下落。5月の日経平均は13774円で取引を終え、先月末の13860円から86円下落し月間騰落率は-0.6%、Topixは-2.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-2.1%、マザーズ指数は+1.3%となり大型株に対してアウトパフォームした。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における5月のパフォーマンスは-1.8%となり、年初来は+23.2%(4月末+25.6%)、累計では+96.6%(4月末+100.3%)とやや後退した。保有株式のウェートは増加し4月末の79%から5月末は85%へとアップした。ヘッジ戦略は現在おこなっていないため、ネットロング比率は4月末の79%から5月末は85%へと変化した。
6月に入っても波乱の展開は続き、投機的な先物主導の下げや93円台まで進んだ急激な円高で信用取引の追証発生による投げ売りも伴って、6/13には日経平均が12445円と日銀による異次元金融緩和発表後の上昇分をすべて帳消しとなるレベルまで売り込まれた。
信用取引の評価損率は-15%まで悪化し、日経平均は25日移動平均線との下方乖離率が10%を超え、バリュエーションも急激に低下して明らかに売られ過ぎの状況となってしまったのが先週までの展開である。今週になって落ち着きを取り戻しつつある。
中期的な上昇トレンドの中では必ず途中で大きな調整局面が発生する。前回は05年5月の10800円から07年2月の18300円まで日経平均が上昇する過程で、06年4月の17500円から06年6月の14000円まで3500円の下落を演じた。今回は、5/23の日中高値16000円寸前の位置から同様の調整が起こるとすれば下値は12500円となり、先週につけた12445円と同じ水準である。
短期的なポイントはやはり米国の金融緩和策の行方だ。まもなく明らかになるFOMCに要注目である。日本の株式市場の明確な反発は1Qの決算発表が始まる7月下旬頃になるだろう。