マーケットに期待してはいけない
すでに9月に突入し、台風一過とともに秋の気配が漂う。夜、耳を澄ますと虫の音も聞こえるようになってきた。
さて、太田忠投資評価研究所の「投資実践コース」における8月のモデルポートフォリオのパフォーマンスは-1.8%で着地。2011年の年初来では+6.9%(日経平均-12.5%、Topix-14.3%、ジャスダック平均-2.9%など主要指数を凌駕)、累計では+47.0%となった。
8月は非常に厳しい展開だった。8/2にデッドラインを迎えた米連邦債務の上限引き上げ問題は土壇場になって解決したものの、史上初となる米国債の格下げで米国のマーケットはパニック状態となった。連日数百ドル単位の上げ下げを繰り返し、ボラティリティが急上昇。NYダウは7月末の12143ドルから一時は年初来安値の10719ドルまで実に1400ドル超もの下落を演じた。
日本市場も大幅安の展開となった。欧米株安、世界経済減速懸念に加えて、為替が一時史上最高値である1ドル75円台をつけ、日本企業業績への不安が高まった。外国人投資家が売り手となり、トヨタ、ホンダ、ソニーといった国際優良株が軒並み年初来安値を大きく更新した。東日本大震災時の安値よりもさらに売られる展開となった。8月の日経平均は-8.9%、Topixは-8.4%と急落。一方、ジャスダック平均は-3.8%、マザーズ指数は-0.5%となり、今月も小型株優位の展開となった。しかしながら、優位とはいえ売買代金はジャスダック市場において200億円を切る日が続いており、今年最も閑散状態となっている。活況状態とは程遠い。
ポートフォリオ運用においては、一貫して慎重姿勢を続けており月中平均の株式投資のウェートは30%台。したがって、市場の大きな下落の影響を回避している。逆指値ヒットにより手元のキャッシュが積み上がり、時間的分散投資効果が持続している。利益確定によるポジションの下落を割安株へ乗り換えることも徐々に実行しているが、まだ積極的姿勢に転換する局面ではない。
8月の米雇用統計が発表されたが、失望的な数字だった。同日のNYダウは253ドル安となった。先週、一時的に9000円台を回復した日経平均も本日は大幅安でのスタートである。しばらくは上値9000円程度との厳しい認識で取り組む必要があるだろう。
マーケットに期待してはいけない。