上昇局面入りならず、再びボックス圏での展開が濃厚
9月1日のまとまった雨で、秋の気配も感じられるようになった東京。
夜には虫の音も聞こえてくる。窓に差し込む光の角度で、太陽の位置が徐々に変わっていくのも手に取るようにわかる。夕方6時になると外はもう暗い。これから年末に向けてどんどん時間が加速していくだろう。
さて、8月のモデルポートフォリオのご報告である。8月のマーケットは日米市場ともに上昇したものの月末にかけては減速する展開となった。
米国市場は続伸。7月の米雇用統計が市場予想を上回る伸びとなり、スペインやイタリアなどの国債の利回りが低下したことでリスクテイクの姿勢が強まり、8/17にはNYダウは13275ドルを付け5/1以来3ヶ月ぶりの高値となった。また、アップルの時価総額が一時6235億ドルとマイクロソフトが99年12月に記録した6205億ドルを抜いて史上最高となったことも大きな話題に。しかし、その後は高値警戒感から利益確定売りの展開となった。米国のマクロ経済指標は回復を示すものが多かったものの、8月のユーロ圏の景況感指数が5ヵ月連続で悪化したことが重荷に。一方、FRBによる追加的金融緩和は「必要があれば実行される」との姿勢が示された。8月のダウは13090ドルで取引を終え82ドル上昇し月間の騰落率は+0.6%。ナスダックは3066ドルとなり127ドル上昇の+4.3%となった。
日本市場は反転。7月はマーケットが大きく下がったものの、8月はリバウンドした。米雇用統計が大幅に改善したことを受けて、買戻しおよび見直し買いの機運が高まり日経平均は久々に9000円台を回復。欧米市場の上昇や欧州債務問題の一服に加えて、為替が対ドルで79円台、対ユーロで98円台まで下落したため、輸出関連株を中心に大型株が買われた。日経平均は7/4につけた直近高値の9136円を突破し、8/23には9178円と5/8以来3か月半ぶりの水準まで買われた。しかしながら、欧米市場の反落により下旬にかけて再び9000円を割り込み弱含みの展開となった。売買代金1兆円割れの日が13日連続となり、8月の平均売買代金は8730億円と今年最低の月間記録となった。8月の日経平均は144円上昇し月間騰落率は+1.7%となったのに対してTopixは-0.6%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-0.4%、マザーズ指数は+2.0%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における8月のパフォーマンスは-0.7%となった。年初来は+4.1%(7月末+4.8%)、累計では+49.2%(7月末+50.2%)とやや後退した。7月の相場下落により先物のショートによるヘッジ戦略がスタートしていたが、8月は相場の上昇によりショートポジションを清算。ネットロング比率は7月末の13%から8月末には31%へと上昇した。8月は中旬まではパフォーマンスは積み上がっていたが、下旬の相場の下落に引きずられてややマイナスで着地した。
株式市場は7月の下落局面から脱しつつあったものの8月の下旬からは弱含んでいる。欧米市場もほぼ同じ様相を示している。欧州信用問題についてはスペインのカタルーニャ州が政府に金融支援を要請するなど新たな問題が出ている。上海市場が年初来安値を更新するなど、世界経済の減速感への懸念が高まっている。
日経平均は7/4の直近高値を一時は更新し、上昇相場への期待感が高まったが、ここにきてやや後退。9000円を割り込む展開となったため、しばらくは8500円~9100円のボックス圏での動きとなることが予想される。景気敏感関連の大型株の動きは相変わらず冴えないものが多いが、新興市場の銘柄で上昇するものが出てきたため、この分野は要注視である。