買ってはいけない!? 外国人が大量に買った株
1――はじめに
日本の株式市場では外国人の存在感が一層増している。そのせいもあってか、2013 年3 月期の決算発表が本格化した頃から「外国人が大量に株を買った企業はどこか」、「外国人はどのような企業を好むか」といった報告などを目にする機会が増えた。いずれも売買を推奨する旨は明記していないが、こうした情報の受け手側には株式投資の参考情報にしようと考える向きもあろう。果たして外国人が大量に買った株はその後も値上がりするのだろうか。
そこで本稿では、外国人持ち株比率の増減と企業の経営指標や株式収益率の関連性を調べた。その結果、外国人が大きく買い増した銘柄は必ずしもその後の経営指標が改善する訳ではないことや、これらの銘柄に安易に投資しても報われない可能性が示唆された。
2――日本株と外国人投資家の関係
1|日本株市場で存在感トップの外国人
東京証券取引所などが発表した2012 年度の株式分布状況によると、「外国法人等」(以下「外国人」)が日本株を保有する割合(金額ベース)は、前年度比1.7 ポイント増加して過去最高の28.0%となった(図表1)。一方、銀行・保険など国内の投資家は軒並み保有比率を減らし、2010 年度以降3年連続で外国人がトップとなった。
過去からの推移を見ると、1980 年代は事業法人や信託銀行(実質的には年金基金や投資信託が信託銀行名義で保有している分が多い)、生・損保などが日本株の殆どを保有しており、外国人のシェアは1割に満たなかった。しかしバブル経済が崩壊すると持ち合い解消や経営スリム化に伴って事業法人や銀行(図表の「都銀・地銀等」)の保有シェアが低下した。更に2000 年代に入ると景気低迷の長期化や規制強化への対応を強いられた年金基金や保険会社が日本株の保有を徐々に減らした。その一方で外国人はほぼ一貫して保有シェアを拡大し、金額ベースでは3年前から日本株の最大の株主となっている。