ピケティ氏よりトランプ氏、世界過剰貯蓄に対する最適処方箋~トランプノミクスによる経済ブームは日本株を強力に押し上げる~
【ストラテジーブレティン(172号)】
(1)レーガノミクス相場に匹敵する株価上昇の可能性
新次元に突入した世界経済と市場
トランプ氏の登場により、世界経済と市場は(多分地政学も)新次元に突入した。そして、今始まった株式とドルのトランプラリーの持続性は高いと思われる。株高ドル高は、投資家によるトランプ氏の経済政策に対する信任の高さを物語っている。選挙期間中に強調されたポピュリズム、保護主義、孤立主義的傾向が薄められるにつれ、市場の注目は大規模財政出動、プロビジネスの規制緩和、国防支出増額などが引き起こす景気浮揚効果の大きさにシフトしている。軍拡・財政出動と規制緩和は、まさしく米国資本主義中興の祖ともいえるレーガンの経済政策そのものである。1980年のレーガン大統領の登場は、米国株式(NYダウ工業株)が18年間で1,000ドルから10,000ドルへの10倍という米国史上最大の上昇相場の起点となった。政策のラディカルさを考えれば、今後4年のトランプ大統領在任期間中の株価上昇がレーガン8年間で2.5倍(年率12%)に匹敵するスケールとなる可能性もあり得るのではないだろうか。
そう考えられる根拠は、トランプ氏の経済政策が今後数年にわたって米国経済の成長率を大きく押し上げること、がほぼ確かだからである。そして後述する2つの理由により、今の米国には成長阻害要因が小さいので、来るべき経済ブームが長く続く可能性が大きい。2要因とは、①米国経済のファンダメンタルズは基本的に健全であること、②トランプ政策が、現在の世界経済・米国経済が陥っている病、過剰貯蓄、資本余剰に対して有効な処方箋と考えられること、である。