FM 今月のポイント( 2017年10月)

2017/10/02 <>

*上半期が終了しました。東京株式市場は TOPIX ベースで約 12 %の上昇となり、比較的好調な展開となりました。しかし、マーケット参加者の実感としては上値の重さが絶えず意識されています。北朝鮮情勢に加え、世界的な金融政策の変節点を迎えていることが不透明感を台頭させています。加えて9月28日に衆議院が解散し総選挙が行われることが、日本独自の要因として外国人投資家にも注目されています。ポイントは選挙後に、北朝鮮有事に対応できる安定政権が成立できる か?です。当初は自民党が大勝しないまでも自公で安定多数を獲得できるという楽観論が大勢でしたが、小池百合子東京都知事が希望の党の代表に就任、民進党を吸収する勢いを見せたことでセンチメントが急変しています 。 自民党からも「大変な脅威。改めるべきは改めて、国民の支持をもう一度得たい」(石破茂元幹事長)との声が出はじめています。仮に、安倍首相が示した勝敗ライン(与党が過半数を占める 233 議席)を割り込んだ場合、マーケットはどのように反応するでしょうか。もちろん、安倍首相退陣の可能性が高まります⇒普通に考えて、株安円高 、金利上昇の可能性が高まります。一応、現状の株価水準はアベノミクスの唯一の成果である大規模金融緩和策が支えている面が大きいと思います(日米金利差拡大からの円安進行・日銀の ETF買い)。自公での過半数割れはアベノミクスリセットにつながりかねません。来年春に任期を迎える黒田総裁の後任選びにも影を落とし、極端に金融政策がスイングするリスクも否定できません。当面は選挙結果を見極める展開が続き、一段と膠着感が強まることが想定されます。そして選挙結果判明後は、有事対応を主とした政権の強度・安定度が問われます。さらに、経済運営(アベノミクス継続か、コイケノミクスか)の方策・実現性で上値の目処、下値の堅さが試されることになります。安倍首相より一般的に右寄りと認識されている小池氏の具体的な政策発表が待たれます。

*トランプ大統領が 9 月 27 日に、待ちに待たれた税制改革案を発表しました。その内容は、法人税制においては(税率を 35 %から 20 %に引き下げる)、(パートナーシップの事業体や個人事業主などを対象にした「パススルー課税」⇒二重課税の回避)、(企業の海外所得への課税を原則とりやめ)、(設備投資の即時償却容認)、個人税制においては(税率の区分を 7段階から 3段階に引き下げ)、(最高税率を 39.6 %から 35 %へ引き下げ)、(基礎控除を現在の 2 倍に)、(相続税の廃止)、(住宅ローン控除などを除く各種控除の廃止)等々です。どのように考えても、大企業優遇、富裕層優遇の税制改革であることは間違いないようです。当然のことながら民主党の反発を招くこと必至です。さらに、実現すれば 10 年間で 2.2 兆ドル(約 250 兆円)の減税となり、財政赤字の拡大は必至で、財政タカ派の共和党議員も反対する可能性もあります。いずれにしてもトランプ減税の行方には紆余曲折が想定され、その他の財政出動議案も滞ることは容易に考えられます。ようやく 2.3 %を超えてきた米 10 年債利回りですが、今後も順調に上昇するとは思えません。低成長・低金利継続の世界経済、世界金融を前 提とした下期相場への想定が必要であると思われます。

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